ルーラ、ベネズエラ政権をまた擁護=「コミュニストは誇り」とも

6月29日のルーラ大統領(Valter Campanato/Agencia Brasil)
6月29日のルーラ大統領(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 6月29日、ルーラ大統領はブラジリアで開催されたラ米の左派同盟「フォロ・デ・サンパウロ」の会議で挨拶を行い、「コミュニスト(共産主義者)と呼ばれるのは誇りだ」と語った。ルーラ氏はこの日、別のところで「民主主義のあり方は相対的なものだ」との発言でベネズエラの独裁政権を擁護した。同日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じている。
 フォロ・デ・サンパウロは1990年に南米を中心とするラ米とカリブ海諸国の左派政党の団結を求めて結成された団体で、6月29日の会合は年次の定例会合だった。
 開会式で挨拶を行ったルーラ氏は、「右派の連中は我々のことを苛立たせようと思ってコミュニストと呼ぶのだろう。だが、その呼び名は誇りだ。なぜなら、我々はナチだのネオナチだのテロリストとは呼ばれない。世界のどこにおいてもだ」と主張した。
 ルーラ氏はこれまでを振り返り、「2000年代の南米は我々にとって最高の時代で、各国で左派政権が誕生した。ブラジル、アルゼンチン、チリ。そして我々の仲間のベネズエラのチャベス氏も勝った」と、現在のベネズエラの独裁政権の基を作った同氏を褒めた。
 また、ルーラ氏は同日、ガウシャ局のラジオ・インタビューの中で、ベネズエラに関して訊かれ、ベネズエラは「ブラジルより多くの選挙を実施してきている。民主主義のあり方は国によってまちまちだ」として、マドゥーロ政権の独裁に関して語ることを避けた。
 ルーラ氏は5月にも「ベネズエラに対する世界の報道の語り方は好きではない」と南米首脳の会合で語り、批判を浴びていた。
 ルーラ氏の言動は政界でも物議を醸し、連邦政府閣僚の中ではシモーネ・テベテ企画相が6月30日にインタビューを受けた。同氏はどのような文脈で話されたのかは知らないがと前置きした後、マドゥーロ政権は「民主主義的な政府とは言えない」との見解を示した。テベテ氏は「民主主義に関して私とルーラ氏が同じ考えを持っていると信じたい」との言葉でルーラ氏を擁護はしていた。

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