大統領、男女同一賃金強化法を裁可=違反企業に給与の10倍の罰金=通報ダイアル設置や精神ケアも

シダ・ゴンサルベス女性大臣(Foto: Jose Cruz/Agência Brasil)
シダ・ゴンサルベス女性大臣(Foto: Jose Cruz/Agência Brasil)

 ルーラ大統領(労働党・PT)は3日、男女間の賃金格差是正を強化する法案を裁可した。今後、匿名通報ダイアルが設けられ、違反した企業が判明した場合、給与の10倍の罰金が科せられる。この法案は3月8日に行われた国際女性デーでのイベント中に大統領自らが発表したもので、その後両院で承認され、大統領の署名を待っていた。3日付ポデル360サイト(1)(2)(3)などが報じた。
 大統領は法律施行式典で、「法令を遵守する企業家と、従わない企業家がいる。我々の政府では、従わない企業家はブラジルの法律に直面しなければならない」と違反行為に対する処罰を強化する理由を述べた。
 シダ・ゴンサルベス女性大臣は「私たち女性は、この日を少なくとも80年間待ち望んできた。ブラジルでは1943年に統合労働法(CLT)が施行されて以来、ずっと、男女間の同一労働同一賃金の義務に関する規定があるのに、現実はほとんど進歩してこなかった」と語った。
 従来から男女が同じ職務や専門スキルを要する仕事をしている場合、同一賃金を払う必要があったが、法律を守る雇用主は多くなく、女性の給与は男性より平均して22%少なかった。今回はその規定への罰則や監視機関への権限を強化することで、法令順守への強制力を強めた。
 政府はこの問題に対処するため、匿名通報ダイアルのようなサービスを準備している。と同時に、検査官が男性と女性に支払った金額を比較できるよう、企業側は今後、報告書を提出する必要が出てくると報じられている。罰金は、支払われるべき給与の10倍に相当する。再犯の場合はさらに2倍になる。
 シモーネ・テベチ企画相は5日、国政ラジオ放送の番組で、「労働省は監査の準備を進めている。女性労働者を不当に扱うと、企業家は今後、自分の首を絞めることになる」と述べた。政府は差別を受けた側への精神的ケアにも対応するとの方針を示した。
 ルーラ大統領は、アスリート奨学金プログラムについて、妊娠中または出産間もないスポーツ選手への奨学金を継続した支払いを保証する法律も承認した。併せて、ブラジル弁護士協会(OAB)の倫理規定違反行為の中に、モラル・ハラスメント、セクシャル・ハラスメント、差別を含めるという法律改正も行われた。

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