4日付エスタード紙(1)(2)(3)(4)などによると、中国の自動車メーカーBYD社は4日、ブラジルでの電気自動車生産に30億レアルを投資すると正式発表した。この発表は同社アメリカ担当CEOおよびグローバル執行副社長であるステラ・リ氏が参加したイベント内で行われ、バイア州のジェロニモ・ロドリゲス州知事(労働者党・PT)も立ち会った。バイア州カマサリ市に三つの工場を建設し、ハイブリッド車や電気自動車を生産予定とのこと。さらに、国外市場向けのバスのシャーシと電気トラックの製造や、電気自動車用バッテリーの材料であるリン酸リチウムとリン酸鉄の加工を行い、既存の港湾を利用して輸出を行う構想も発表している。
BYDは08年に世界初の量産型プラグインハイブリッドカーを発売。中国政府の電気自動車への補助金を受け、中国本土と外国にも積極的に販売。16年時点での電気自動車販売数は世界一。22年、初の完成車国外工場をタイに建設した。
バイア州新工場は24年後半に稼働開始予定で、5千人の雇用創出が見込まれる。同社はすでにサンパウロ州カンピーナス市に工場を持ち、15年から車体枠組みと電気バスを生産しているが、電気自動車生産工場は初めて。
BYD社の進出交渉は、22年に同社とバイア州政府との間で行われた意向確認書の調印によって始まった。今年からはルーラ大統領(PT)も加わり、中国/ブラジル間での会談を経て強化され、今回の発表に至った。
カマサリ市には米国の自動車メーカーのフォード社が工場を保有しているが、当地での生産終了を21年に発表、約4千人の従業員を解雇していた。BYD社はその土地に新工場を建設すると見られているが、用地の買収はまだ終了していない。州政府もフォード社との交渉に介入する予定だが、合意に達しない場合は同市の別の土地を譲渡するとしている。
リ氏はイベントで、「我々はこの国に革新とハイテク技術を呼びよせる。ここバイアで最先端の電気自動車を生産し、革新とハイテクノロジーの中心とする。バイア工場を中南米の中心とし、中南米全域で成長することが目標だ」と述べ、「伯国の新工場は電気モビリティ導入と加速を可能にし、気候変動と闘うための重要な一歩となり、人々の生活の質の向上につながる」と付け加えた。
バイア州は23年まで商品流通サービス税(ICMS)を2段階に分けて割引する自動車産業奨励策を実施中で、BYD社はこれに目をつけていた。またロドリゲス知事は、同州で生産される30万レアルまでの電気自動車のIPVA(自動車所有税)免除を約束している。
正式発表ではないが、4日付ギア・ド・カーロ記事は、新工場で製造される車種は電気自動車「Dolphin」、ハイブリッドカー「Song Plus」になると伝えている。