メルコスル=ウルグアイが共同宣言署名拒否=中国との貿易協定優先の意向

メルコスル首脳会議の記念写真、右から3人目がルーラ大統領、2人目がポウ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/PR)
メルコスル首脳会議の記念写真、右から3人目がルーラ大統領、2人目がポウ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/PR)

 アルゼンチンで3~4日に開催された第62回メルコスル首脳会議の最終日、中国との貿易協定を優先したウルグアイのルイス・アルベルト・ラカジェ・ポウ大統領は、メルコスルの保護主義を批判し、他諸国との意見の相違から最終共同宣言に署名しなかった。批准しなかったのはこれで4度目となる。同国はかねてから中国との自由貿易協定締結に積極的で、二国間で交渉中だ。4日付けテラサイトなど(1)(2)(3)が報じた。
 だが、他のメルコスル加盟国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ)は、この動きが組織を弱体化させ、他の経済圏との貿易交渉で不利になるとの意見で、反対の意向を示している。
 ポウ大統領は「中国に関するウルグアイの立場は知っているはずだ。我々が協力し合わないと、話し合いは進まない。もしそれができないのであれば、我々は二国間で進めるだけだ」とメルコスルよりも中国を優先する意向を同首脳会議で述べた。
 ウルグアイでは、メルコスル内の貿易収支で不利な立場に置かれていることに不満を抱いている人々が多い。2022年、ブラジルの輸出入による収益は587億米ドルの黒字で、他のメルコスル加盟国の総額を大幅に上回った。アルゼンチンの貿易黒字は149億米ドル、ウルグアイは4億9400万米ドルでかろうじて黒字だが、額が少ない。パラグアイの貿易収支は56億米ドルの赤字だった。
 今回の首脳会議ではブラジルが輪番議長国に就任し、ルーラ大統領(労働者党・PT)の指揮の下、EUとの自由貿易協定、ベネズエラのメルコスル再加盟の可能性、対外貿易に関するウルグアイの不満など、難しい議題が話し合われた。

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