老若男女が楽しんだ県連日本祭り=「こんな文化イベント出来るのは日本だけ」

伝統工芸品を眺める来場者たち

 【既報関連】ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)主催の「第23回日本祭り」では、各都道府県の郷土文化情報を発信する「都道府県スペース」が新設され、展示品を物珍しそうに眺める来場客が多くみられた。恒例の「高齢者の広場」「文化エリア」「アキバスペース」もあり、老若男女幅広い層が同祭を楽しんだ。同祭りは7~9日にサンパウロ市の大型イベント会場で行われ、約18万5千が来場した。

沖縄民謡演奏の様子

日本の多彩な文化を紹介
「都道府県スペース」新設

 「都道府県スペース」には群馬県の高崎だるまや、福岡県の博多人形、富山県の雛人形、栃木県のみこし、鹿児島県の絵画「桜島の灰」、高知県の日本酒や沖縄の泡盛など、42県人会の伝統工芸品や県産品、計137品が展示された。
 宮城県人会の七夕祭りの手芸品を眺めていたロゼアーネ・ロドリゲスさん(33歳)は「同じ国の中でも地方によって異なる文化を持っているということは当然のこと。今回の展示では地域ごとの特色がよく理解することができ、日本祭りにとって、とても価値ある取り組みだと思います」と語った。
 展示スペース横ではワークショップや講演会などが行われ、和歌山県人会は同県出身の合気道創始者・植芝盛平についての講演、北海道文化福祉協会は観光地紹介やアイヌ文化についての講演、福島県人会は喜多方ラーメンの講演、沖縄県人会は民謡ワークショップ、東京都友会は東京音頭の披露などを行った。
 同スペース担当の近澤マリーナさんは「来場客の評判はとても良かった」と話し、今後は工芸品展示のみならず、県産品販売も行えるようにしたいと語った。

高齢者も家族連れも満喫
「高齢者広場」と「文化エリア」

 「高齢者の広場」では60歳以上を対象に無料血圧・血糖値測定、マッサージ、聴力検査が実施され、将棋・囲碁ブース、体操コーナーなど高齢者向けの施設が設置された。一般エリアでもサンパウロ日伯援護協会が健康関連や日本移民史などのクイズ大会を実施し、9問以上正解した人に体温計や人間ドック(チェックアップ)の抽選参加券が贈られ、賑わいをみせた。
 「高齢者の広場」周辺には「文化エリア」が設けられた。絵手紙、折り紙、墨絵、書道、ピクセルアート、イラスト、切り紙や日系文学のブースが設置され、ワークショップや講演、物販などが行われた。
 サンパウロ絵手紙友の会ブースのワークショップに参加したフェルナンド・リマさんは5年前から毎年、娘と参加している。フェルナンドさんは絵手紙をする娘を見守りながら「イタリア系、ドイツ系などいろいろな移民コミュニティがあるが、一つの国の文化だけでこんなに大きな規模のイベントをしているところは日本以外に見たことがない。家族みんなで楽しめるからとても嬉しい」と話した。
 書道ブースの小林月仙さん(88歳、茨城県)は第1回日本祭りから参加している。「あの頃から仲間はずいぶん減って寂しさを感じることもあるけど、ブースに来てくれたブラジル人に日本語で名前を書いてあげると、とても喜んでくれてね。地方の日本祭りに招待されるようにもなって、こういう機会を通して人との繋がりが増えるのは楽しいよ」と笑みをこぼした。

ポップカルチャーも大盛況
「アキバスペース」「FJTAON」

 漫画やアニメなどのポップカルチャーを取り扱った「アキバスペース」は若者を中心に賑わった。漫画の販売やメイドカフェ、PC・ゲーム機、VRゴーグルの試遊機が設けられ、舞台上ではダンスゲーム「ジャストダンス」の公開プレイや、ブラジル人アニメソング歌手のステージが行われた。
 ゲーム機の試遊を楽しんだブラジル人カップルのミレネ・ネヴェス(20歳)さんとグスタボ・バルボーザさん(20歳)は「ゲームで遊べるだけじゃなくて、ゲーム開発についての講演や歌唱ステージ、参加型イベントもあってとても楽しい」と満足した様子で語った。
 県連が若者参加促進のために設置した「FJTAON」スペースでは、同祭テーマ「もったいない」を楽しみながら学べるよう、空き缶をUFOキャッチャー利用券と交換する取り組みを実施。人気オンラインゲーム「リーグオブレジェンド」のトーナメントやデジタルインフルエンサーによる講演会、小規模手芸品製作者による作品販売も行われた。
 「FJTAON」でアニメや漫画キャラクターの人形を販売したマリアーネさんとレナトさんは「設けられた場所もよかったし、来場客も親切な人ばかり。SNSでは感じらないことがたくさんあった。出店者もみんな楽しんで、喜んでいるよ」と喜びを語った。

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