FTA交渉=ルーラ「対等な条件求める」=EU・メルコスル協定で=年内締結を望むと発言

ルーラ大統領とライエン委員長(Ricardo Stuckert/PR)
ルーラ大統領とライエン委員長(Ricardo Stuckert/PR)

 【既報関連】ルーラ大統領は現地時間の17日、ベルギーのブリュッセルで欧州連合(EU)欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談を行い、EUとメルコスル(南米共同市場)との間の自由貿易協定(FTA)の早期承認などに触れた。ルーラ氏はこの会談で、2023年のうちに「対等な条件のもとでの」協定成立を希望するとの発言を行った。17日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じている。
 ルーラ大統領が今回ブリュッセルを訪れたのは、同日から開催されているEUとラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(Celac)との共同会議に参加するためだった。この会議は18日まで続き、欧州と中南米から60カ国近くの代表が集まる。ライエン委員長との会談はこの会議の直前に行われたものだ。
 ライアン委員長は会談後の共同記者会見の席で、2019年から進められているEUとメルコスルとの自由貿易協定に関して、「前進している」との見解を語った。
 ルーラ氏はこの会見の席ではメルコスルとの件については語らなかった。だが、EUとCelacの共同会議の一部でもある企業家向けフォーラムでの演説では、「メルコスルとEUの対等の関係での協定締結を今年中に望む」と発言した。
 「我々は(協定締結のために)2030年をめどとした森林伐採ゼロの約束を交わした。これは、この協定締結の以前から現在、今後に関してもずっとついてまわる課題だ」とルーラ大統領は語っている。
 EUとメルコスルの貿易協定は1999年には話し合われていたが、交渉が進展し、合意が成立したのは2019年になってからのことで、現在は各国並びに欧州議会で承認する段階にある。自由貿易協定の正式な締結に関し、EU側は前向きな姿勢を見せていたものの、当時のボルソナロ大統領の環境問題軽視の態度が問題視され、森林伐採問題への課題対処が求められていた。EU加盟各国の議会では環境問題をめぐって難色を示す国が相次ぎ、不法伐採地で生産した品の輸入は認めないなどの声が上がって協定締結が難航している。
 このEU諸国側の姿勢に関しては、ルーラ大統領も「環境問題は率先して守る」としながらも、同時に「威嚇的」だと感じていたと報じられていた。
 また、ルーラ氏は、EUとメルコスルの協定を進めるための課題として、「政府購買を増やすこと」を掲げ、「数カ月のうちに経済活性化計画(PAC)を発表する」として、そのための具体案も出すつもりだ。
 ルーラ大統領は企業家向けの講演で同PACについて触れた際、EUとの現状の協約で進んでいる項目の一つである「EU諸国の企業がメルコスル内の事業での入札に関して、平等に参加することができる」という条約に難色を示している。
 「政府購買はインフラへの投資を維持するためには必要なこと。米国やEUの企業はただでさえ有利だ」として、国内産業の保護を訴えている。
 他方、ライエン委員長はクリーンエネルギー開発とワクチンのため、Celac諸国への450億ユーロの投資を約束した。
 ルーラ氏は首脳会議の開会式でも同様の主旨の演説を行い、自由貿易協定の締結は信頼をベースに行われるべきとの考えを述べた。また、アマゾン保護やベレン市で開催予定の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)についても触れた。

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