ラヴァ・ジャット作戦の主任検察官だったデルタン・ダラグノル氏(ポデモス)の下議罷免に続き、担当連邦地裁判事だったセルジオ・モロ氏(ウニオン)が上議を罷免される可能性がパラナ州の選挙地域裁(TRE)の時点で既にあると、17日付フォーリャ紙など(1)(2)が報じている。
モロ上議の議席剥奪危機は、デルタン氏が6月の選挙高裁(TSE)での審理で満場一致で罷免となったことや、パラナ州のTREが、ルーラ大統領の労働者党(PT)とボルソナロ前大統領の自由党(PL)の両党からの選挙法違反での当選無効の訴えを一つにまとめて審理することを決めたことなどから囁かれていた。
PTとPLは、「公式な選挙期間が始まる前にキャンペーンを始め、その費用が自己申告に含まれていなかったこと」「選挙費用が規定額を上回っていること」を嫌疑としてあげ、モロ氏の罷免を求めている。
モロ氏は昨年の4月にポデモスからウニオンに電撃移籍を行ったが、それまではポデモスの大統領候補と見なされており、全国行脚などを行っていた。また、モロ氏がTSEに申告した上議選に使った費用520万レアルも規定の440万レアルを超えていた。
この件の最終決定権を持つのはTSEであり、その一つ前の段階のTREではない。加えて、パラナ州はモロ氏の地元でもあり、少なくともTREでは有利な判決が出ることが予想されていた。
だが、それが5日にパラナ州TREの人事異動で危うくなったと見られている。報告官を務める予定だったマリオ・エルトン・ジョルジェ判事が退き、ダルタニャン・セルパ・サー判事が引き受けることになったためだ。
エルトン判事は6月に捜査対象者の情報開示や家宅捜査要請を却下しており、モロ氏に有利な報告を行うことが予想されていたが、4月のある審理の最中に、「パラナ州は文化的に北部や北東部より優れており、他の州のような政治上の駆け引きもない」との発言を行い、全国的に問題となった。
報告官を引き継ぐセルパ・サー判事はジョゼ・リッシャ元パラナ州知事の側近だった人物だ。ジョゼ氏の息子ベト氏は同じくパラナ州元知事で、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕を経験。モロ氏とは対立関係にある。
また、4月にルーラ大統領の推薦で加わったジュリオ・ジャコビ・ジュニオル判事もベト氏と近い関係にある。アンデルソン・リカルド・フォガッサ判事は高等裁(STJ)でルーラ氏に近いジョゼ・ラウリンド・デ・ソウザ・ネット判事の側近だった人物。チアゴ・パイヴァ・ドス・サントス判事は、ボルソナロ政権の下院政府リーダーで、モロ氏が罷免された場合に予想される上院補欠選で上議を狙っていると噂されているリカルド・バロス氏の姪と結婚している。
これに対して、モロ氏は17日付エスタード紙で「この動きは、私の大統領予備選立候補がパラナ州で私を知らしめるための単なる裏工作であるなどという、空想的な憶測に基づくもので、何の意味もない。選挙に負けた日和見主義者と手を組んだベネズエラ流の、民主的な反対派を黙らせるためのPTの策略にすぎない。民主主義とパラナ州の195万3千人の有権者に対する無礼である」と反論している。