ブラジル高知県人会=創立70周年、400人でお祝い=弘田県議会議長ら慶祝来伯

祝辞を述べる片山会長

 ブラジル高知県人会(片山アルナルド会長)は16日午前10時、サンパウロ市ビラ・マリアナ区の三重県人会館で「ブラジル高知県人会創立70周年記念式典」を行った。式典には弘田兼一高知県議会議長ら6人の慶祝団、県人会員、関係者ら約400人が出席した。

弘田県議会議長

 式典は新出ロブソン好章(しんで・よしあき)さんが司会を務め、高橋美加副会長が開会の辞を述べた。先没者に対し一分間の黙とうを捧げた後、日伯両国歌を斉唱した。
 式典挨拶に立った片山会長は「故郷を同じくする者と会ったとき、故郷愛から望郷の情が湧き、癒しを得ます。『ジャポネース・ガランチード』という言葉は、日本人を揶揄しようとして使われることもありますが、多くの場合は、日本人は正直で約束を守るという意味で使われます。これは日本移民115周年の歴史の中で日本人が勝ち取った誇るべき、再評価されるべきことです。高知県人会はこの心の遺産を、維持していく会でありたいと思います」と述べた。
 公務で来伯できなかった濱田省司(せいじ)高知県知事からはビデオメッセージが寄せられた。濱田知事は祝辞を述べるとともに「高知県は、ひとつの大家族やき」と背景の壁に揮毫(きごう)し、県人会の節目を祝した。
 弘田県議会議長は「今年は笠戸丸移民781人がブラジルに渡って115年目の年。この中には高知県人もおり、また、高知出身の水野龍はサンパウロ州政府と三千人の日本移民契約に調印して日本移民の祖となりました」と高知県とブラジル日系社会の歴史的繋がりについて触れ、「近年では野球が盛んな高知県に、南米から野球を学びに6人がやって来ました」と現在にまで続く交流の事跡を辿りながら祝辞を述べた。
 三木敏生・高知県文化生活スポーツ部副部長は「昭和39年(1964年)から令和4年(2022年)までに、中南米の高知県人会子弟から留学生を27人、海外技術研修員を371人受け入れました。留学生たちが日本との友好親善の懸け橋となって活発に活動されることを期待しております」と祝いの言葉を述べた。
 桑名良輔在サンパウロ総領事は「日本移民の祖・水野龍、南米一のコチア産業組合の初代理事長となった下元健吉、南伯農協中央会理事長、ブラジル日本移民史料館第二代館長を務めた中沢源一郎ら高知県人は、日系社会の創成期から重要な役割を果たしてきました。県人間の交流、母県との交流を通して日伯親善交流に貢献していただき、御礼申し上げます」と挨拶した。
 パラグアイ高知県人会の渡辺土佐男会長は祝辞を述べるとともに、同会が今年で創立47年目を迎え、同国には約400人の県人がおり、その半数が会員になっていると自国における県人会の様子を紹介した。
 その後、川村怜子JICAブラジル事務所次長、山下譲二ブラジル日本文化福祉協会会長(文協)代理、小野エミル・アチバイア市長、羽藤ジョルジサンパウロ市議会議員、中島マルシオサンパウロ州議会議員代理の平松オスカル氏、飯星ワルテルサンパウロ州知事補佐代表、西森ルイスブラジル連邦下院議員らが挨拶した。
 功労者表彰が行われ、片山明子婦人部長、東(あずま)加代子さん、故文野雅甫(ぶんの・まさお)氏へ高知県から感謝状と記念品が贈られた。片山婦人部長が代表謝辞を述べた。
 高齢者表彰では、8人に高知県からの祝い状および記念品が贈呈され、井上章(あきら)氏が代表謝辞を述べた。
 高知県並びに県議会から県人会に対して、ご祝儀と記念品が贈呈され、県人会から慶祝団に記念品が贈呈された。
 高知県からブラジル日本都道府県人会連合会(県連)、サンパウロ日伯援護協会(援協)、文協への奨励金贈呈も行われ、市川利雄県連会長、税田パウロ清七援協会長、山下文協会長代理が受け取った。
 サンパウロ市議会の羽藤議員から弘田議長、三木副部長に記念プレートが贈呈された。
 留学生、研修生OBを代表して森岡千恵蔵さんが「大豆栽培、豆腐製造の研修を通して、自分のルーツを知ることができました」と研修の意義を語った。
 閉会の辞として、高知県人会イベント部の甲藤(かっとう)マリオ部長が「次は県人会創立100周年を祝いましょう」と述べ、式典を締めくくった。

水野龍の三男、水野龍三郎さん

 その後、水野龍の三男、龍三郎さん(92歳)が紹介され、「入院していたが何とか今日来ることができました」と祝辞を述べた。
 式典後には、蒸し鯛やカツオのたたきなどの高知名物料理が振舞われ、出席者らで郷土芸能「鳴子踊り」を踊って70年の節目を祝った。

舞台で鳴子踊りを披露する弘田県議会議長

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