農業技術の進歩で生産性が増し、穀物の収量は新記録更新が続いているが、インフラが追い付かず、マットグロッソ州だけで何千トンもの穀物が屋外で保管されていると23日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
それによると、今年の穀物の収量は昨年より4300万トン以上増えているが、サイロや倉庫の貯蔵力拡大が追い付いていない。
一例はマット・グロッソ州シノッピの農園で、農園管理者のレオニル・メウレル氏によると、今収穫期の収量は前回より10万俵増えている。このために、サイロや倉庫にある大豆がはけるまではトウモロコシを保存する場所がなく、8万俵は屋外に、6万俵は倉庫の床に置かれているという。
ヴィニシウス・メッカ氏も同様で、サイロには3万トンの大豆が入っているため、袋詰めのトウモロコシ1万8千トンが屋外に置かれている。また、トラックがあっても港の貯蔵スペースが不十分なため、搬出できる量が限られ、大豆がはけて、サイロが使えるようになる時期はめどがつかないという。
同州では今年収穫した大豆の20%がまだ生産者の手元にある。また、今年のブラジルの穀物収量は過去最多となることが間違いない。
穀物の収量は2001年に1億トン、2015年に2億トン、今年は3億トン超(4月13日付Conab公式サイト(4)参照)で、年940万トンずつ増えているが、貯蔵量の伸びは480万トン/年で、1・18億トン分が貯蔵できずにいる。
屋外貯蔵の穀物増加は価格や品質の低下を招き、国内外の消費者の食の安全性低下にもつながるが、2017年6月付カナル・ルラル・サイトなど(5)(6)でも同様の問題が報じられており、ブラジルでは長年、解決できていない問題の一つといえそうだ。