南米コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領の長男、ニコラス・ペトロ容疑者(37)が7月29日、マネーロンダリング(資金洗浄)と不正蓄財の容疑で逮捕された。同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じている。また、同容疑者元妻のダイスリス・ヴァスケス容疑者も、犯行に加担したと見られ、身柄を拘束された。
この捜査は、今年初めにダイスリス容疑者が地元マスコミに対して行った、元夫が2022年大統領選挙中に麻薬組織の関係者から多額の金を受け取ったとする告発に基づいて開始された。ニコラス容疑者が米国で麻薬密売の有罪判決を受けた政治家から、ペトロ候補(当時)の選挙資金として6億ペソ(約72万レアル)の寄付を取り付け、父親が政治家としてのキャリアを再開する手助けをした疑いが持たれている。
ダイスリス容疑者はペトロ大統領は息子の闇取引について何も知らなかったと説明しており、犯罪者から得た資金は、同国海岸部の市にある夫妻の自宅の金庫に保管したと述べた。一部報道では不動産の購入などに使い込んだとの情報もあるようだ。
ペトロ大統領は民主主義を主張して「4月19日運動」を起こしたかつての反乱軍員であり、同国内の政治的腐敗に立ち向かう闘士として台頭した過去を持つ。コロンビア初の左派大統領で、貧困と不平等撲滅政策を強めるため、医療や労働などの分野で社会・経済改革を約束していた。
大統領は自身のSNSで「息子が逮捕されるのを見るのは非常に胸が痛むが、共和国大統領として、検察が法に従って適切に対応できるよう保証をする」と述べた。
このスキャンダルは、政権発足当時から保守派の攻撃を受けていたペトロ政権にとって大きな打撃であることは否めない。同時に、米国との関係においても歪みが生じるのではないかと懸念されている。米国は長年、麻薬における非合法武装組織との戦いにおいてコロンビアを重要な同盟国としており、共和、民主党の両党からの支持を確保することに重点を置いていた。
これにより、米国の政治家や保守派から不信感が高まる可能性がある。コロンビア政府は、透明性を持って事件を適切に調査し、信頼の回復に努める必要があると報じられている。