ブラジル岐阜県人会(長屋充良会長)は7月30日午前10時、「ブラジル岐阜県人会創立85周年、岐阜県人ブラジル移住110周年記念式典」をサンパウロ市リベルダーデ区のブラジル愛知県人会館で開催した。母県から河合孝憲副知事、田中勝士県議会副議長、柴橋正直岐阜市長、尾関健治関市長ら慶祝団18人が来伯し、同県人会関係者ら約300人で佳節を祝った。
式典は児玉エンヒッケ理事が司会を担当し、国井宏裕副会長が開会挨拶を行った。日伯両国歌斉唱の後、先亡者の霊に1分間の黙とうがささげられた。
登壇した長屋会長は祝辞を述べるとともに「初期移民の方々の苦難の歴史に畏敬の念を持ち、日系人がブラジル社会で勝ち得た信頼へ感謝する。これらの想いを次世代につないでいくことが我々の務めだと思っています」と語った。
また、長屋会長は2021年5月に世界26の岐阜県人会を統合して設立された岐阜県人会インターナショナル(GKI)の会長も務めており、昨年10月に岐阜県で開催された「第1回岐阜県人世界大会」「第1回世界岐阜県人会サミット」の様子を振り返って、「岐阜県人のアイデンティティと誇り、県の魅力を再確認しました」と述べた。
県人会ではブラジル日本都道府県人会連合会(県連)主催「日本祭り」への参加や式典前日にサンパウロ市の日本文化広報施設「ジャパンハウス」で行われた岐阜県主催イベント「岐阜の夕べ・イン・サンパウロ」などを通じて母県文化の魅力を発信している。長屋会長は「昨日は岐阜県とブラジルの友好親善の記念すべき1ページとなりました。県人会員の皆様、これからも仲良く楽しく、岐阜県の魅力をアピールしていきましょう」と語った。
来賓挨拶に立った桑名良輔在サンパウロ総領事は、1913年、移民船・若狭丸でブラジルに上陸した11家族44人に始まる岐阜県人と、1938年に創立した同県人会の歴史を振り返った。岐阜県からはこれまでに2千人以上が移住し、現在も県費留学生制度や農業高校生海外実習派遣事業を通じて県人青年の交流機会が保たれているという。
在サンパウロ総領事館では、県人会が行う日伯友情交流絵画展の開催協力や、関市とモジ・ダス・クルーゼス市、中津川市とレジストロ市、岐阜市とカンピーナス市の姉妹都市提携仲介などを通じて岐阜県とブラジルの友好関係促進に協力してきた。
桑名総領事は県人と県人会の節目に祝辞を述べるとともに「GKIの活動は、日系社会が共通して抱える課題に挑戦する素晴らしい取り組みだと思います」と語った。
河合副知事、田中県議会副議長、柴橋市長が祝辞を述べ、市川利雄県連会長が岐阜県の文化紹介を行った。
在外移住岐阜県人表彰の後、佐久間ソニア書記理事が表彰者を代表して謝辞を述べた。
ブラジル岐阜県人会感謝状授与の後、野村アウレリオサンパウロ市議会議員代理として出席したブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長が河合副知事、田中県議会副議長、柴橋市長、尾関市長にサンパウロ市議会の顕彰プレートを渡した。
来伯中の第42回岐阜県農業高校生海外実習派遣団(足立伸幸団長)が紹介され、黒崎梓里さんが代表挨拶を行った。派遣団の10人は、アメリカに7月14~20日、ブラジルに21~8月1日、オランダに2~5日まで滞在し、ハウス集約農業実習などを行う。
「岐阜県民の歌」を斉唱して長尾ジョージ昇・会計理事が閉会の辞を述べた。
続けて記念祝賀会が行われ、尾関市長の音頭で乾杯した。会食後、「ブラジルのシュバイツァー」こと同県出身の細江静雄医師の伝記映像が上映された。上映後には細江医師の始めた南伯での巡回診療が、慶応大学同窓生で当地の老人医学先駆者である森口幸雄医師に引き継がれた経緯の説明が行われた。
また、細江医師が創設したボーイスカウト・カラムル隊が現在、隊員450人を擁するブラジル最大規模のボーイスカウト組織に成長していることが紹介され、同カブスカウト隊員らが祝いの拍手を披露し、サンバ学校のリードでサンバを踊った。広瀬修県議会議員の万歳三唱で祝賀会を閉会した。