21年前に行方不明の女性を保護=無給無休で奴隷同然の日々送る

アデライデさん(3日付テラサイトの記事の一部)
アデライデさん(3日付テラサイトの記事の一部)

 リオ・グランデ・ド・スール州中部のサンタマリア市で6月末、21年前に行方不明になっていた女性が、奴隷労働的な状況で保護されたと、3日付テラサイト(1)が報じている。労働省(MTE)は、アデライデ・アレシャンドレッチさん(45)は21年もの間、無給で家政婦として働いていたと見ている。休日もなく、年末のボーナスや福利厚生など何もなかった。週末に外出したり物を買う自由もなく「監獄だった。ひたすら働くだけ」と過酷な日々を振り返る。
 アデライデさんの居場所は、二つの空の本棚で区切られているだけの筒抜け状態で、24時間監視されていた。バスルームにシャワーがなかったため、室内で洗面器を使って入浴しなければならなかった。
 これは同市公衆衛生局の医療記録により発覚した。文書には「患者は雇用主から労働に対して給与を受け取っておらず、自由に移動する許可を受けていない。非常に不安な様子。奴隷労働を強いられているのでは?」との記載があったことから、労働省が動き始めた。
 救出されたアデライデさんは市保護施設に送られ、労働省が介入し、違法な労働に対する補償が行われる予定だ。雇用主は「居住する場所がなく、保護が必要な弱者に善意で助けを提供している」と主張している。だが、アレシャンドレ・ラガニン労働検察官は「弱者という立場を悪用して、生存と引き換えに労働させることは許されない。この奴隷さながらの働き方は100年以上前に終わったことだ」と主張している。
 アデライデさんは2008年、24歳の時に失踪して州北西部のトレス・デ・マイオ警察署に届け出されていた。母親は「娘を探し回って、仕事も失って、食べることも寝ることもできなくなり、ただ泣いていた」と語り、娘を探すためにテレビ番組に170通以上の手紙を送ったと言う。姉もSNSで助けを求める投稿をした。
 救出直後、保護施設のスタッフが彼女と母親を電話でつなぐと、「信じられない、あなたがここにいるなんて。娘よ、私の天使」と感動の再会だったという。今後、彼女は学業を終え、自分が作った服を販売する店を開きたいと、期待に胸を弾ませている。

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