4月29日付カナル・テック誌(1)が、ブラジル人アニメマニアが選ぶ最悪な実写化作品のベスト5を紹介している。選者は同紙記者のドウルバル・ラモス氏で、パラナ連邦大学コミュニケーション修士課程修了、現在伯字紙でゲームやアニメなどの評論を手掛ける。
日本が世界に誇る漫画やアニメは、これまで数多く実写化されてきた。作品の背景にある日本文化と独特な美学は海外から見ると時折異様に映ることもあり、それらの要素と物語性を捉える難しさに直面する。多くの場合、熱烈なファンの期待を裏切る結果となり、酷評されるようだ。
▼5位【カウボーイビバップ】2022年にネットフリックスで公開された実写版シリーズは、オリジナルアニメでも楽曲を手掛けた菅野よう子氏が参加するなど芸術作品になりうる要素はあったが、制作陣の理解度が低かった。外見だけにこだわり、話の筋立てに大幅な変更を加えた結果、主人公たちの過去や成長に重要な要素を与えず、形骸化してしまった。原作ファンの心は遠く離れた結果、1シーズンで打ち切りとなった。
▼4位【ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊】17年にハリウッドが手がけた実写映画で、スカーレット・ヨハンソンや北野武など錚々たる面々が出演した。ホワイトウォッシング(白人以外の役柄に白人俳優が配役されること)も非難も浴び、ファンを落胆させた。また原作では、人間の存在意義や現実世界の意味など、哲学的な考えが顕著に表れているが、この映画ではほとんど取り上げられていない。原作の問題提起をすべて無視した、ただのアクション映画になってしまった。
▼3位【北極星の戦士(北斗の拳)】1980年台に制作が始まった老舗漫画「北斗の拳」は、主人公が禁断の格闘スタイルを用いて弱者を守る王道的なストーリーと、社会が崩壊した後の世界を背景にして、キャラクターが力強く生き抜く姿勢が魅力となり、今なお人気が根強い。95年に公開されたこの実写映画は、アニメに驚くほど忠実で、キャラクターのビジュアルは近づけることができた。問題は、非常に低予算でクオリティが追いつかず、独特の世界観ゆえの奇妙さが際立ってしまい、くだらない作品との評価がついてしまったことだ。
▼2位【デスノート】こちらもまた、ネットフリックス限定で公開されている傑作アニメだ。名前を書かれた人間が死ぬとされる「デスノート」を中心に繰り広げられるストーリーは非常にシンプルで脚色もしやすいため、実写化は簡単であった。そのため筋書きやキャラクター設定にアレンジが加えられ、登場人物の特徴付けが全く異なるものとなった。原作への敬意がなく、イメージを失墜させたとも言われている。
▼1位【ドラゴンボール・エボリューション】原作アニメがダントツで人気があるだけに、この実写作品が09年に劇場公開された際、アニメを実写化することがいかに無謀であるかを、世界中に知らしめたと言っても過言ではない。「ドラゴンボール」は影響力が大きく、その人気に乗っかろうと多くの制作者が注目をしていた。だが完成作のあまりの駄作ぶりに俳優ジャスティン・チャットウィンのキャリアを失墜させただけでなく、実写化構想を企画する際に常に気になる失敗例として幽霊のように付きまとう存在になった。
戯画化されたスタイリッシュさを、シリアスな実写映画に持ち込もうとしてもうまくいくはずがなかった。同映画の悪評はあまりにも大きく、原作者の鳥山明氏もその映画とは何の関係もないことを主張している。