本紙にもたびたび軽妙なタッチの文章を寄稿する戦後移民の酒本恵三さん(75、山口県出身)が、初めての著作『酒本恵三随筆集』を7月に日毎叢書企画出版から刊行した。
ニッケイ新聞、楽書倶楽部、ブラジル日報などに寄稿された74編のコラムがまとめられたもの。320頁もあり、読み応えたっぷり。しかも「世にも不思議な物語」「偶然の一致」などのシリーズには、自身のブラジル経験に裏付けられた独特の視線や分析が込められており、当地在住者には納得がいく話が多い。
酒本さんは1948年に山口県光市に生まれ、12歳で家族と共に渡伯、南麻州のバルゼア・アレグレ移住地に入植した。その後、サンパウロ大学工学部を卒業、CBC重工に長年勤めた。父が日本で繊維関係の仕事をしていた関係で、渡伯後にブラジル鐘紡社長だった延満三五郎さん(ブラジル日本文化福祉協会第4代会長)と知り合い、父と一緒に延満家に出入りするうちに、延満さんの次女と結婚。
定年退職してから書き始めた人生経験を行間に漂わせる独特な随筆の数々。興味がある人はメール(sakakeizo@gmail.com)まで連絡を。