コロニア・ピニャール入植60周年記念祝賀会での太鼓部「飛翔」の演奏を、県庁職員の女性が涙ながらに見守っていた。
県庁に勤める谷口あいこさんは今回、慶祝団の一員として来伯。聞けば2010~12年にJICAボランティア隊員として同地に日本語教師として派遣されていたという。元生徒らの演奏姿に感極まっていたようだ。
谷口さんは「みんなすっかり大きくなったけど、変わらない子たちもたくさん。年上の人たちに敬意をもって学ぼうとする姿勢は変わっていなくて、日本の心が受け継がれているな、立派な子たちだなと感じました」としみじみ語った。
元生徒の中原一男エデルソンさん(24、3世)、市川早百吏さん(さゆり、26、2世)、山田ルミさん(24、3世)は「あいこ先生はとても優しくて愛情に満ち溢れた人。こんな何もない村にまで指導にきてくれたあいこ先生をはじめとするボランティアの方たちには感謝の気持ちでいっぱいです」と語る。
元生徒の3人は、2014年に日本で行われた太鼓大会出場時には、谷口さんの実家が経営するレストランを訪問するなど交流を続けていたといい、こうした繋がりが自身らの日本留学や、ブラジルの日系企業就職などにも影響していると語った。
ボランティア事業が終了しても続く彼らの関係に、日伯人材交流の成果を目の当たりにした思いだった。(ア)