ブラジル沖縄県人移民115周年記念式典が4日午前10時から、サンパウロ市議会8階貴賓室で開催された。沖縄県から照屋義実副知事、赤嶺昇県議会議長をはじめとする慶祝団一行のほか、ブラジル沖縄県人会(高良律正会長)関係者や南米等からの同県系人ら約350人が出席し、ウチナーンチュ同士の親睦を深めあった。
式典には沖縄関係者をはじめ、式典を主導した野村アウレリオ市議、在サンパウロ日本国総領事館の小室千帆首席領事、西尾ロベルトブラジル日本文化福祉協会副会長、税田パウロ清七サンパウロ日伯援護協会会長、市川利雄ブラジル日本都道府県人会連合会会長らが来賓として出席した。
日本ブラジル両国歌斉唱の後、野村アウレリオ市議が祝辞。沖縄県人の苦難の歴史に触れた上で、10月30日をサンパウロ市の「沖縄国際の日」に制定した発案者として、「市の公式イベントの中に挿入したことを誇りに思う」と述べた。
引き続き、あいさつに立った高良会長は1908年の第1回笠戸丸移民781人のうち、325人が沖縄県人だったことに言及。今回の式典実現の背景に、「いちゃりばちょーでー」「ゆいまーる」の精神で家族を守り続けてきた先人の遺産があったとし、今後の県人会を若い人材の育成の場にすることを強調していた。
照屋副知事は玉城デニー知事の祝辞を代読。初期移民の先人たちが異国の地で苦難を乗り越え、次世代の子弟たちが現在、ブラジル社会の各分野で活躍していることに触れた。また、昨年沖縄県で日本復帰50周年と第7回世界のウチナーンチュ大会が開催されたとし、ブラジルをはじめ、世界から参加した県系人が相互交流を深められたことに感謝の意を示した。その上で「沖縄文化のさらなる普及・継承や若い世代の育成に尽力されるとともに、ブラジルと沖縄の友好の架け橋として活躍されることを期待している」とブラジルのウチナーンチュに対する思いを述べた。
幼少期をブラジルで過ごした経験を持つ赤嶺県議会議長は、自らポルトガル語でサンパウロ市ペニャ区生まれであることを説明した後、日本語で初期移民が苦労と困難を経て今日の繁栄があることを「我々沖縄県人の誇り」と褒め称えた。さらに、長年の懸案事項である「南米連絡事務所」のブラジル側での設置について、「県議会として議論を重ね、次世代の国際交流のあり方を模索してまいります」と実現への意欲を見せていた。
今回の式典では、100歳以上の高齢者6人をはじめ、90歳以上130人、功労者23人が沖縄県から表彰。久場良喜さん(100歳、沖縄市出身)、新垣信光さん(96歳、八重瀬町出身)、島袋栄喜元沖縄県人会長の3人が代表して表彰状を受け取った。
サンパウロ市イピランガ区在住の久場さんは代表謝辞で「移民人生の中で最高の日を迎えることができました」と喜び、ビラ・カロン区在住の新垣さんも「長寿を祝して沖縄県から特別な感謝状を頂き、この上ない喜びです。これからも元気で頑張ります」と笑顔を見せていた。