15日の朝8時31分に発生した全国接続システム(SIN)の問題による広域停電は、現代社会がいかに電気に頼っているかを改めて実感させた。
公式発表によると、南部では9時5分、南東部と中西部では9時33分、北部と北東部では14時49分に送電が正常化したという。だが、30分、1時間で回復した南部や南東部でさえ、地下鉄を含む交通の混乱や給水問題が生じ、銀行や学校も機能を停止。停電による混乱収拾には多くの時間を要した。
原因はまだ解明中だが、15日午後の会見によると、原因の一つはセアラ州の送電線で起きたエネルギーの過負荷だという。停電の直前には風力発電の発電量がピークを記録しており、変電所がだめになるのを避けるためにブレーカーが落ちた可能性がある。しかし、今回ほどの大規模停電となったのには人的要因もあったはずとし、連邦警察やブラジル情報庁が捜査にあたることになった。
ブラジルでは過去にも最低4回(1999年、2001年、2009年、2011年)、広域停電が起きている。
1999年の停電はサンパウロ州の電力会社の変電所での放電事故のせいで、国土の6割が闇に包まれ、南部、南東部、中西部とパラグアイ北部の約7600万人が影響を受けた。
2001~02年の停電は干ばつで水力発電所のダムの水位が低下し、発電量が減少したことが原因。輪番制停電や水の消費を抑えた家庭へのボーナス支給が行われた。
2009年の広域停電の原因はイタイプー発電所からの高圧送電線への落雷とされ、南東部を中心に18州、6千万人に影響が出た。電力供給が途絶えた時間はセルジッペ州4分間、リオ州7時間以上と大差がある。平日夜の停電だったため、停電地域の一部住民は帰宅の為に暗闇の街中をバスターミナルまで歩き、最終便まで残り僅かな本数のバスにもみくちゃになりながらも乗って家に戻った。バスが満員で素通りされ、帰宅できなかった人も多数出た。
2011年は北東部ジャトバ市の変電所でのトラブルで北東部の約90%で停電が起き、4770万人に被害が及んだ。
今回の広域停電は、過去の経験で対策が充実してきたSINの枠内で拡散。SINからの送電が受けられず、火力発電での自力供給が必要なロライマ州だけが無傷というのは皮肉な結果だ。
停電発生が昼間だったため、銀行や商店を含む諸機関で電気電子機器が使えなくなる、通勤・通学の足が乱れるなどの問題が起きた。一方、09年のような闇に乗じた強奪事件の波は避け得たようだ。
太陽光や風力などの自家発電施設を持つ人達には無縁かも知れないし、今回のような出来事は稀との言葉もあるが、思いがけない出来事は現代社会の脆弱さも突きつけた。(み)
(5)https://g1.globo.com/economia/noticia/2023/08/16/apagao-nacional-o-que-se-sabe-ate-agora.ghtml 0時
(6)https://memoriaglobo.globo.com/jornalismo/coberturas/apagao/noticia/apagao.ghtml 21年10月28日 2009年のアパガンに関して