実は欧米で禁止のジピロナ=薬効不明のままベストセラーに

Novalginaを作る製薬会社のサイト
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 欧米の一部では禁止されているのに、ブラジル内では普通に鎮痛剤および解熱剤として流通している医薬品「ジピロナ(dipiron)」の科学的根拠について、17日付BBCブラジル(1)が興味深い内容を報じている。
 熱と痛みを和らげる安価な解決策であるジピロナは、ブラジルで常にベストセラーの薬のリストに載っている。手術後の痛みを軽減する能力が高いと言われ、腎臓結石の疼痛にも有効とされている。
 1920年にドイツの製薬会社Hoechst AGによって開発され、2年後にはブラジルでも入手可能になった。商品名はNovalginaとしても知られている。消費者が購入するのに処方箋は不要で、誰でも薬局で買える。
 ところが、この薬がどのようにして熱を下げ、痛みを和らげるのかは依然として謎に包まれており、実は科学的に解明されていない。シクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる炎症反応を引き起こす体内の化学物質に対抗する可能性があるとされているだけだ。
 そのため、服用時の白血球減少が報告されて以来、副作用の研究が進められ、米国や一部のEU諸国では禁止された。2002年から2005年にかけて行われた研究プロジェクト「ラテン・スタディ」では、ブラジル、アルゼンチン、メキシコの科学者が5億4800万人のデータを分析し、無顆粒球症が52例確認された。これは、人口100万人あたり年間0・38例の割合に相当する。
 国家衛生監督庁(Anvisa)は国際準拠した専門チームによる安全評価を実施し、同薬の効果と安全性について議論した。その結果、ジピロナの効果は疑問の余地なく、他の鎮痛剤や解熱剤と比べてリスクは低いと判断した。
 Anvisaによれば、ジピロナに関する新たなリスクや安全性に関する警告は特定されておらず、ブラジルでの販売禁止については議論されていない。ジピロナはブラジル以外でも利用可能であり、製薬会社や関連団体もその安全性と効果を強調している。
 ブラジルで登録されている使用基準によると、成人および15歳以上の青少年は、500ミリグラムの錠剤を1~2錠、1日4回まで摂取することができる。

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