山口=県人会創立95周年祝う=平屋副知事ら200人で

式典で挨拶に立つ伊藤会長(中央)

 ブラジル山口県人会(伊藤紀美子会長)は19日午前10時、サンパウロ市の宮城県人会館で「創立95周年記念式典」を開催した。県人会員を始め、母県から平屋隆之(ひらやたかゆき)副知事ら慶祝団も参加し、約200人で節目を祝った。式典後の祝賀会では日本の音楽ユニット「Neo Ballad」が演奏を披露するなどし、晴れの日に華を添えた。

 式典は山下リナさんの司会で始まり、要田武顧問が開会の辞を述べた。日伯両国歌斉唱後、先亡者の霊に黙とうが捧げられた。
 挨拶に立った伊藤会長は、今年が第一回移民船笠戸丸のサントス港到着115年目の年で、同船で山口県からは9家族30人が移住したが、マラリアの被害に遭い、方々への離散を余儀なくされたことについて語り、「山口県人会は笠戸丸移民から約20年後の1927年に親睦と相互扶助を目的として立ち上げられました。先輩たちは県人会に集い、お互いに励まし合ってきました。私たちはこれからも会員同士助け合いながら、新たな挑戦を続けて参ります」と述べた。
 95周年式典はコロナ禍の影響などにより、昨年から開催が延期されていた。
 平屋副知事は「県人会の皆様は、山口県にとって共に歩んでいく大切なパートナーです。今後も、その絆を深め、未来へしっかりと繋いで参ります」と述べ、「山口県人ネットワーク」のさらなる強化への意気込みを語り、2028年に山口県で開催する「在外山口県人会世界大会」への参加を呼び掛けた。
 在サンパウロ総領事館の小室千帆首席領事は「山口県人会館を訪問した時、松下村塾を主宰した吉田松陰、高杉晋作の写真が飾られてあり、近代日本を切り開いた長州藩が山口県であると改めて思い出されました。その気風は安倍晋三元総理大臣にも受け継がれていると思います。4年後に控えた山口県人会創立100周年に向けてさらなる発展がなされますことを祈念いたします」と話した。
 ブラジル日本都道府県人会連合会の市川利雄会長は、祝辞を述べるとともに、自身が訪れたことのある山口県の観光名所岩国市の岩国城や錦帯橋の魅力についてや、関門海峡に接する同県の国防における歴史的な重要性について語った。
 サンパウロ市議会の野村アウレリオ議員はサンベルナルド・ド・カンポ市の瑞穂植民地に山口県出身者が集中的に入植し、1960年に開拓を始め、第1号の産業組合を設立し模範的な植民地を構築したこと、1971年にサントス市と下関市が姉妹都市提携したことなど、山口県とブラジルの繋がりについて紹介し、祝辞を述べた。

 式典には国際協力機構(JICA)ブラジル事務所の川妻孝平(かわづまこうへい)所員も出席した。
 功労者表彰、高齢者表彰の後、受賞者を代表して尾田嘉雄(おだよしお)さんが謝辞を述べた。
 記念品交換、留学生・研修員OBの謝辞の後、ブラジル山口県人会から日系コロニア三団体に寄付金贈呈が行われ、三団体を代表してサンパウロ日伯援護協会の税田(さいた)パウロ清七(せいしち)理事長が謝辞を述べた。
 式典は「山口県民の歌」を合唱して閉会となり、祝賀会へと移った。
 祝賀会では、伊藤会長と平屋副知事が記念ケーキをカットし、会場全体で乾杯。出席者らは会食をしながら親睦を深め、上田舞踊団による「常盤めでた」の披露や、「NEO BALLAD」による日本各地の民謡をポップ調にアレンジしたライブ演奏を楽しんだ。

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