日伯協会=池田理事長、3年後に100周年=「駐在員も移民の歴史を知って」

左から2人目が井澤さん、池田理事長、蒲原さん

 一般社団法人「日伯協会」(兵庫県神戸市)の池田育嗣(いくじ)理事長(66歳、香川県出身)が17日、井澤誠一常務理事、蒲原久弥ブラジル住友ゴム社長と共に挨拶のために編集部を訪問した。池田理事長は2020年6月に就任したが、パンデミックのために渡伯できなかった。
 同協会は1926年創立で、同年創刊された機関誌『ブラジル』は今年7月に記念すべき1千号を刊行した。池田理事長は「3年後の創立100周年を見据えて、何らかの記念行事を立案していく予定だ」という。
 同協会が所在する「海外移住と文化の交流センター」(旧移民収容所、神戸市中央区山本通3丁目19―8番地)は、1928年に建設され、移民が海外渡航直前に数日間滞在する施設として戦後も使われていた。日本でも数少ない移民に由緒のある場所だ。
 同施設内にある移民ミュージアムではブラジル日本移民115周年記念企画展「多文化共生をめざす日本のブラジルタウン」が開催されており、群馬県大泉町、静岡県浜松市、愛知県豊田市、島根県出雲市のコミュニティ活動が展示で紹介されている。
 事務局長として常駐する伊澤さんは「このミュージアムを通して、日本人にブラジル移民の歴史を知ってもらうだけでなく、日系人にも自分たちのルーツを知ってほしい。ブラジル日本移民史料館の足跡プロジェクトが作った乗船者名簿で初代移住者の名前を検索し、印刷してお渡ししている。さらに1955年以降なら乗船直前に収容所の玄関で撮影した記念写真のデータバンクもある。戦後移民ならご本人、ご先祖である初代移民の写真が残っている可能性がある。それを印刷して渡すと感激される方が多い。パラグアイやボリビアからも探しに来る人がいます」という。
 池田理事長も「3月にパラナ州知事が奥様同伴で来日された時、日系人である奥様のご先祖のお名前をその場で印刷してお渡ししたらとても喜ばれた。今回、再会したら『一族に知らせて、あの感激を共有した』と言われ、感謝されました」と語った。
 同理事長は2003年に初来伯、以来14回目。2011年にはブラジル住友ゴム社長として工場建設に携わり、同工場では現在、2万本/日のタイヤ生産を達成した。「今まではビジネスで1~2泊だけのことが多かった。退職して理事長に就任し、今回初めてブラジルに11泊。理事長として今までお会いすることのなかった日系社会の皆さんに挨拶をして回って、日系人の良さを感じている。ブラジルに来る駐在員は、ぜひ移民ミュージアムを見てから赴任してほしい」とお薦めした。

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