6日の「沖縄県南米連絡事務所」開設に関する会合で宮城あきら氏は、5月16日付のブラジル日報に掲載された大西洋から太平洋を貫く「南米大陸横断高速道」計画にも触れ、「(日本とブラジルの双方で)一番大切なのは情報の交換で、連絡事務所が設置できれば、こうした情報も敏速化できる」と説明した。さらに、世界的な気候変動による食糧問題、中国による南米大陸の土地の買い占め問題を挙げた上で、泡盛など沖縄産品の世界輸出や、沖縄の観光産業活性化等にも言及。「ブラジルのウチナーンチュにも実業家・企業家はたくさんおり、沖縄の技術とブラジルの財力を合わせて産業を興す方法が見つかれば」と期待感を込めた。
また、島袋栄喜元会長は、ブラジル内で牡蠣(かき)や海苔(のり)の研究による開発事業が進められていること、和牛のブラジルでの畜産方法について沖縄県から問い合わせがあることなども紹介した。
議員団からは連絡事務所について、他の南米諸国との連携の有無やビジネス展開についての質問があった。これについて高良会長が「アルゼンチン、ペルー、ボリビアの沖縄県人会会長とは常にワッツアップでコミュニケーションを取っており、(会合の)前日も今回の陳情書について南米3国の会長と再確認した」と返答した。
そのほか、島袋元会長は南米県系人の若者の交流を目的に毎年南米各地で開催されている「ニーセーターツアー」についても説明。今年のブラジルでのツアーで、経済不況によりアルゼンチンの若者が当初は参加できないと伝えてきた際、ブラジルの若者たちが自らの意思でアルゼンチンの若者10人分の飛行機代を負担したことにも触れた。その上で、「ブラジルの若者は沖縄県への思いが強いが、ブラジルに来る沖縄県の若者は少なく、両方の地盤がないと(友好の)橋は架けられない。もっと沖縄県の若者をブラジルに送ってほしい」と県側に呼びかけた。
さらに、宮城氏は改めて連絡事務所の重要性を強調。「県人会は文化交流が軸だが、連絡事務所ができることで、互いのビジネスも推進できると思う」と切実な思いを語った。
赤嶺県議会議長は「ブラジルの皆様の熱い思いを感じることができた。今回のように双方が、もっと腹を割って話せる機会を作った方がいい。本当にありがとうございました」とあいさつし、会合を締めくくった。(おわり)