ブラジル人初の日本の司法試験合格者といわれる照屋レナン・エイジさん(31歳、3世)が、サンパウロ市の国外就労者情報援護センター(CIATE)の専務理事として9日に着任し、24日に挨拶のため編集部を訪れた。
照屋さんはサンパウロ市生まれで、日本就労する母に連れられ8歳で訪日した。日本の公立学校に通い、テレビドラマや中学生向けの職業百科を読んだことがきっかけで、中学3年から弁護士を目指し始めた。
母が毎日朝8時から夜10時まで自動車部品工場で働く後ろ姿を見て、デカセギ労働の大変さを実感する中、高校時代には毎日5~6時間の勉強に励んで名古屋大学に入学。同法科大学院でさらに勉強漬けの2年を過ごして、2016年9月に司法試験に見事合格した。
その後は大嶽達哉法律事務所に所属。仕事内容は「在日ブラジル人からの相談が9割以上」だという。
在日ブラジル人からの相談内容で最も多いのが「交通事故のトラブル」と「離婚相談」。日本の自動車保険の制度をよく理解していない人が多く、離婚の場合はブラジルで結婚して一緒に日本に行くが徐々に冷めて離婚に至るケースが多いという。
「子供がいる場合、どっちが引き取るかでもめる。交渉途中で子供をブラジルに連れて帰ってしまった場合など特に問題になります」と語った。
2番目が「労災・労働問題」、3番目が「遺産相続」でブラジルから相談が舞い込むこともある。4番目が「ビザ関係」だ。
刑事事件加害者の弁護業務にも携わったことがあるという。外国人の場合、日本で有罪判決を受けると刑務所で刑期を終えた後はビザが更新されないことも。「国籍上の祖国」の言語を知らず、生活経験がなくても送り返されるケースも多いようだ。
「闇バイトに関わって窃盗で逮捕されたブラジル人の弁護も担当したことがあります。彼は日本語が流ちょうで、不良仲間に誘われて一線を越えてしまったケースでした」と残念そうに振り返った。
在日ブラジル人にとってポ語で法律相談できる照屋さんのような存在は貴重だ。現在はCIATEで、日本で就労した人の老齢年金や遺族年金などの無料相談を受けている。「毎日相談者が来ます。このような窓口は本当に重要だと感じる。周りにそのような人がいたらぜひ紹介してください」と呼びかけた。
CIATEは文協ビル1階(R. São Joaquim, 381 – 1º andar, sala 11)にある。詳細問い合わせは電話(11・3207・9014)まで。