烏山さん90歳が初優勝=ブラジル将棋名人戦大会

川合昭顧問、烏山さん、ジェームス会長(左から)

 ブラジル将棋連盟(ジェームス・マン・デ・トレド会長)は8月26~27日、将棋大会「第74回ブラジル名人戦大会」をサンパウロ市のブラジル日本棋院にて開催した。大会にはサンパウロ市在住者を中心にパラー州や南大河州などから19人が参加した。大会結果は烏山久夫さん(90歳、千葉県)が6戦全勝で初優勝を果たした。
 優勝した烏山さんは、1958年に、当時のブラジル将棋連盟会長・山本勝造さんの働きかけで実現した指導棋士招へい事業でブラジルへ移住した。
 烏山さんは日本で早稲田大学将棋部副将として活躍し、銀行へ就職。山本さんからの指導棋士派遣要請を受けた日本将棋連盟が、雑誌「近代将棋」創刊者の永井英明さんに適当な人物の推薦を請い、永井さんと親交があり、アマ五段(当時)の実力を持つ烏山さんが抜擢された。
 これまでの大会には審判員など運営側として携わってきたが、今大会はジェームス会長の呼びかけで選手として初参加することになった。
 烏山さんは年齢による身体の衰えと、数年前から行っているがん治療の影響などから「往時ほどの力はもうありませんよ」としながらも、他の参加者らとは一線を画する強さを見せつけた。大会には前回大会優勝者の浜公志郎さん(34歳、2世、国際将棋対戦サイト「81道場」最高レート2249)らが参加している。
 優勝杯と第74代ブラジル名人の称号を受け取った烏山さんは「私との対局で出場者の皆さんが少しでも将棋を楽しいと思ってくれたら嬉しいです」と語った。

関連コラム・サビアのひとり言

 「第74回ブラジル名人戦大会」で優勝した烏山久夫さん(90歳、千葉県)は、胃がんと前立腺がんの治療で、健康だったころと比べると体重が65キロから45キロに減少。身体能力や直観の衰えも感じ、運転免許は返納したという。その一方で近年は、朝4時半に起きてラジオ体操に参加して体力づくりに励み、「妻にはその年にしては十分元気な方よと言われています」と笑う。「この年になれば病気は次から次へと見つかるもの。健康のためにラジオ体操で体を動かし、将棋で頭を動かす。活動を主宰してくださっている各団体には感謝ですね」と語った。
     ◎
 日本将棋連盟後援の国際将棋対戦サイト「81道場」では2016年から国別団体戦「World Shogi League (WSL)」が有志によって開催されている。初年度は日本を含む28カ国から参加があり、ブラジルは高段者チームの出場するAリーグで3位の好成績を収めた。同リーグは1年間をかけ総当たり方式で優勝国を決める。今年度は28カ国が参加し、Aリーグには日本や台湾などを含む11カ国が出場している。ブラジルは日本の将棋研修機関「研修会」に所属経験のある浜公志郎さん(34歳、2世)ら3人がチームを組んで出場。8月24日に行われた第7回戦は2位ブラジルと首位オーストリアの試合となり、ブラジルが勝利して、首位が入れ替わった。リーグ結果は1月に決定する。

最新記事