99歳が8時間耐え忍ぶ=大洪水で水面から頭だけ出して

救助されたエウマさん(8日付ジョルナル・デ・ブラジリア記事の一部)
救助されたエウマさん(8日付ジョルナル・デ・ブラジリア記事の一部)

 洪水で自宅を流された99歳のエウマ・ベルジェル・デ・ソウザさんが、ブドウ栽培用の支柱にしがみつき、水面から頭だけ出した状態で耐え続け、8時間後に救助された。これは4〜5日にかけて通過した温帯低気圧により甚大な被害を受けた、南伯リオ・グランデ・ド・スル州ヴァーレ・ド・タクアリ地域のロッカ・サレス市で起きた。8日付エスタード紙サイト(1)などが報じている。
 タクアリ川の水位が13メートルも上昇して氾濫し、水が家に侵入し始めた4日、エウマさんは自宅で介護士と一緒にいた。洪水の勢いで壁が崩れ、2人は流された。町全体が水没していたため親族は駆けつけることが出来ず、エウマさんの隣人夫婦に連絡を取った。屋根の上に避難していた同夫婦は助けを求める叫び声を聞いたと話した。
 「おばあちゃんと介護士は亡くなってしまったと覚悟していたけれど、ブドウ栽培用の支柱にしがみついていたところを発見されたの」とエウマさんの姪孫であるラケルさんは語った。この金属製の柱が高齢者と介護士の命綱となり、頭だけ水から出た状態で救助を待った。
 2人は5日早朝、偶然その場を通りかかり、叫び声を聞いたボートの乗組員によって救助された。エルマさんは低体温症になっていたため、ヘリコプターでエンカンタード市の病院に搬送されたが、大事には至っていないとのこと。
 アミウトン・フォンタナ市長(民主運動・MDB)はエウマさんの移送について、同市のロッケ・ゴンザレス病院が完全に浸水しており、機能不全に陥っていたためと説明した。
 同市長によれば、この洪水の主な被害者は高齢者であり、エウマさんのように多くの人々が救助された。その中には、家が浸水した際に酸素供給装置に繋がれていた91歳の高齢者も含まれているとのこと。酸素の残量がほぼない状態で間一髪のところで救出されたと報道されている。
 10日時点でこの温帯低気圧により同州で46人が死亡、2万5千人が自宅から避難している。日本周辺では、台風が勢いを弱めて温帯低気圧に変わる現象がよくみられる。

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