84歳の高齢男性が34歳の恋人にうつつを抜かし、総額19万レアル(約577万円)を送金した。送金はPixで3月から7月にかけて行われた。それに気付いた男性の家族が連邦地方裁判所(TJDFT)に民事訴訟を起こし、財政的に圧迫しているとして資産差押えを求めている。14日付のメトロポレ(1)などが報じている。
同訴訟によれば、この男性は首都ブラジリアに住む元連邦下院議員で「自分は絶対にだまされない」と自信を持っている。日本でも高齢の親の財産管理が社会問題になっているが、ブラジルも同じだ。
84歳男性は、社会福祉政策「アウシリオ・ブラジル」受給者を対象とした天引き融資(empréstimo consignado)を3件も組み、借金してまで毎月計8300レアルを恋人に送金している。この恋人との関係を持ち始めた直後には、同氏はクレジットカードで2万7千レアルの買い物もしていた。
男性の息子らは裁判で、父親の恋人が自分たちの生活に「大きな経済的損害を与えている」と主張。父親と話し合ったが取り合ってくれず、今後も恋人との関係を続け、お金を送り続ける意向であると話したという。
父親が高齢者特有の妄想性パーソナリティ障害と重度認知症を患っていることを示す精神科医の診断書を、息子らは裁判所に提出した。同診断書には「状態は慢性で今後も予断を許さず、機能制限と民事能力の欠損をもたらす」「患者には法的な後見人が必要であり、生活全般や資産、財政の管理・移動、また個人的、家族的または財産的な性質の法的行為や取引を行うことはできない」と明記されている。
9月12日に出た判決により、アグアス・クララス第2家庭裁判所は男性の3人の息子らの申し立てを認め、検察局も差押えを支持する立場をとった。リア・ルイザ・シルヴァ・リベイロ判事は判決の中で、「資産の損失につながる可能性のある重大な資産侵害の兆候がある」と判断した。
今後、彼の資産に関する全行為は相続人の一人の同意が必要とされる。日本では、判断能力が不十分となった高齢者本人に代わって、家族などが代理人(後見人)となって財産管理をする制度がある。