「寿司のピザやホットドッグ、アカラジェはいかが?」―ブラジル人の創造性と食の遊び心を見事に結集させた、ユニークで斬新なブラジル式寿司が注目を集め、SNSの動画が数百万回再生された結果、売上が300%増加したという。そのサクセスストーリーを8月29日付PEGN誌サイト(1)(2)が報じている。
ブラジルで「Sushi」といえばクリームチーズは当たり前だが、ホットドックやピザの様な形状の寿司は珍しい。このメニューはエスピリトサント州内陸部のサンマテウス市に位置し、パトリック・カンポスさん(28)とライヤニ・クアルテザニ・モルさん(31)が共同経営する「La Sushi Delivery」で提供されている。
パトリックさんは以前、兄と共に別の和食店を経営していたが、自身の創造性を開花させたいと一念発起して独立し、4年前に恋人とともに新ビジネスを始めた。オーナーであり、寿司職人でもあるパトリックさんが厨房を仕切る。15歳の頃に日本食レストランで働いていた母親の影響で寿司職人見習いとなり、以後13年間この仕事に携わっている。
同店のメニューには伝統的な寿司の他に、寿司ピザ、寿司バーガー、寿司サンドイッチ、さらにはバイア料理アカラジェの寿司など斬新な料理が並ぶ。パトリックさんは「評判は賛否両論。全ての人を喜ばせることはできない」と言う。
インスタグラムでは8万5千人以上のフォロワーを抱え、特に「寿司ピザ」の動画が人気。衣をつけて油で揚げた酢飯の土台にクリームチーズをたっぷりとのせ、その上に生サーモンを豪快にトッピングする。
2人は協力してSNS向けコンテンツの制作をする。彼が商品テストをして撮影する一方で、彼女は料理を試食するモデルになる。パトリックさんは「視聴者は動画を見て目で料理を味わっている。ニーズにフィットしていると感じる」と述べた。彼らがビデオに出演し始めたことにより、エンゲージメント(フォロワーからの積極的な接触)が急上昇し、以前は月間エンゲージメントが千人に届かなかったのが、今では7百万人を超える。
SNSで注目されたことにより、売上にも影響を与えた。パトリックさんによれば、以前の月間売上は1万5千レアル(約46万円)程度だったが、現在では7万レアル(約212万円)を超える。
同店には2人の他に、3人の配達ドライバー、包装係、調理を手伝う2人の寿司職人を擁する。現在は配達のみの対応だが、将来的に実店舗を新設する可能性も。パトリックさんは、料理技術を教えるオンライン講座も提供。斬新なアイデアとSNSを駆使した効果的なマーケティング戦略の賜物だと報じられている。