ブラジル北東部セアラ州で18年前に発生した、中央銀行フォルタレーザ支店強盗事件の主犯格の一人が19日、サンパウロ市内のスマレ地区で逮捕された。同強盗事件は、ブラジル史上最大級の強盗事件の一つと見られており、「まるで映画のような華麗な犯行」との枕詞が付けられることが多い。
犯行グループは中央銀行の地下金庫まで近隣家屋から80メートルものトンネルを掘り、約1億6500万レアル(約49億円相当)という大金を盗んだことで、当時国際的なニュースになり、ギネス世界記録にも認定された。犯行グループは36人で構成されており、すでに15人の被告が有罪判決を受けている。20日付メトロポレサイトなど(1)(2)(3)が報じている。
逮捕された「ボカン(大きな口を持つ人の意)」の愛称で知られるリーダーは、懲役49年の判決を受けて逃亡中だった。男はサンパウロ州警察によって発見された。
犯人が潜伏していた家からはコカイン1キロ、大麻1・5キロ、精密計測器、現金716レアル(約2万円)、携帯電話数台が見つかり、スマレ地区での違法薬物取引の拠点として機能していたとみられている。
「ボカン」以外にも、その家にいた3人も麻薬取引の容疑で現行犯逮捕された。
この中央銀行フォルタレーザ支店金庫破りの犯行は、2005年8月5日から6日にかけて実行された。犯行グループは3カ月かけて金庫の地下に通じるトンネルを掘り、大金を盗むことに成功した。
警報装置やセンサーを切ったことに加え、週末の犯行であったために事件の発覚が遅れ、総重量3トン以上の50レアル紙幣を持ち出し、同市内で最も交通量の多いドン・マヌエル大通りを逃走した大胆な犯行にも注目が集まった。また盗まれた紙幣は廃棄処理される予定のものであり、追跡がほぼ不可能であったことも真相の解明を困難にした。