サンパウロ州サントス市が実施した調査で、市内には合計319棟もの傾いた建物があり、そのうち65棟はビーチ沿いに立地し、より急な傾斜を持っていることが明らかになった。安全上の理由から長年問題視されているが、その特異性が注目を浴び、不動産市場での需要をにわかに高めていると、22日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じている。
この問題の背景には、高層建築の技術的知識が未熟であった時代に建設ラッシュが起こり、大量に建てられたことによる。その結果、基礎工事が浅い不安定な構造となり、軟弱な砂地地盤に打ち込まれた基礎部分の沈下が続いていることが、この結果を引き起こしたようだ。
住人らは傾いた建物での生活について「ドアが勝手に閉まる」「物が転がる」「エレベーターを降りた際にめまいが起こる」など不便さも感じるという。
その一方で、海岸沿いに位置するという魅力には敵わないともいう。海が見える好立地の条件下では、斜めの生活でも問題視せず、むしろ特異性を楽しんでいると話す。
12年6月7日付G1サイト記事で、専門家は「この種の問題は非常にゆっくりと発生する。建物の歪みは、リスクや不安の範囲に入るまで何年もかけて起こる。非常にゆっくりであり、建物が倒壊するのは一夜ではない」と急に倒壊する心配はないという見方をしている。
同物件は不動産市場でも注目されており、500万レアルほどかけてまっすぐにする工事をすれば価値が40〜50%上昇する見込みだという。このため、将来的に値上がりする可能性があると見られ、今の安い状態で購入しておこうとする動きがあり、需要が高まっていると報じられている。
だが、2012年に同市が実施した調査によると、海岸沿いにある65棟の建物の中には急傾斜により、最大1・80メートルもの高低差が生じていることが判明している。
市の管理部門は、斜めに傾いた建物の安全性を確保するために、建物の傾きに関する法律に基づいて2年ごとに建物の状態を評価し、必要に応じて修復や保守作業を行うプロセスが進行中だと明らかにしている。