ピラール・ド・スール文化体育協会(横飛ジェトゥリオ会長)主催の「第43回敬老会」が10日、同文協会館で催され約200人が集まった。パンデミック後初めての開催となるこの日の敬老会の75歳以上の敬老対象者は84人おり、最高齢者は98歳の米村幸子さん。この日の会場には、うち約50人が元気な姿を見せた。
横飛会長は「名誉ある敬老の皆様は、わたしたちの家族、社会、そして文協にとって特別な存在です。それは、皆様が人生とともに色々な経験と体験を重ね、たくさんの知識と正しい判断力を持っているからです。これまでの人生ではすべてが簡単ではなく、たくさんの苦しみや混乱を乗り越えられたことでしょう。皆様は私達よりも強く、私達の家族、団体、社会にとって見本となる存在です」と敬意と感謝の言葉を述べた。
日本語学校生徒代表の南ゆみさん(13歳)は、「いつも私達に色んな事を教えてくれ、助けてくれ、優しくしてくれてありがとうございます。私達は本当に感謝しています。今日のために頑張ってたくさん練習した出し物を発表します。どうぞ楽しんでください」と感謝の気持ちを伝えた。
その後、表彰者の名前が1人ずつ呼ばれ、前日から婦人会が心を込めて作った弁当や紅白の餅、養蜂業を行う寺尾貞亮(てらおていすけ)氏よりプロポリス、日本語学校生徒手作りのプレゼントが、青年会員によって一人一人手渡された。
昼食後余興が行われた。今年は15演目が用意され、日本語学校の生徒はこの日のために2週間毎日練習してきた出し物を披露した。
合唱「打ち上げ花火」では全校生徒73人が元気よく歌い、また7歳以上による同曲の合奏では笛や木琴、鍵盤ハーモニカ、スズやタンバリンなどの演奏が披露された。
幼稚園児の手遊び「むすんでひらいて・幸せなら手をたたこう」では、表彰者もいっしょになって手を動かし、劇「大きなかぶ」では老壮会会長や文協会長などが舞台上に呼ばれいっしょにかぶを抜くなど、表彰者からは笑顔が絶えなかった。
その他、移住劇や踊りの発表があった。また20年以上続けているという婦人会・日本語学校母の会・教師合同による踊り2曲が披露され、会の盛り上げに一役買っていた。
同校教師は「現在生徒は、半分を占める非日系を始め文協非会員の家の生徒が多く、一昔と違い敬老会におじいちゃんはおばあちゃんが来ていない生徒の方が多い。でも、今もこうやって日本語学校が活発に楽しく活動できるのもその人達が昔からずっと続けてきてくれたおかげ。子供達には感謝の気持ちをもって喜びと元気を与えられるように、と伝えて練習をしてきた」と、今の時代の生徒に対して敬老会を行う意義を理解させ想いを伝えようとすることが大切とし、「生徒達は劇や合唱で日本語をたくさん覚えたり、音楽や演技やダンスなどの能力も向上したりするので、1学期の母の日と父の日発表会と並び、敬老会での発表会は子供の様々な成長に非常に大きな効果がある」と、日本語学校が行う教育的見地からも同会へ参加する意義を語った。
老壮会を代表して豊田一夫氏(86歳、栃木県)が「私達老人は日頃楽しく過ごせるように努力したいと思う。今日はこうした温かい歓待にあずかり、厚く御礼申し上げます」と謝辞を述べた。
カラオケを披露する高齢者がいなくなるなど、敬老会も時代とともに内容も変わってきているというが、4年ぶりの開催となった今年の同会では、日本語学校生徒をはじめ、青年会、父兄会、婦人会などあらゆる世代が協力して高齢者に感謝とお祝いを伝えることが変わらずに継承されていることが伺えた。