ネサラ・ゲサラ詐欺で巨額被害=信者を洗脳した牧師ら逮捕

逮捕されたオソリオ・ロペス・ジュニオール容疑者(22日付G1サイトの記事の一部)
逮捕されたオソリオ・ロペス・ジュニオール容疑者(22日付G1サイトの記事の一部)

 1,000,000,000,000,000,000,000,000,000レアル(1 octilhão、ゼロが27個、日本語なら「千禾予(せんじょ)」)という地球上に実在しない金額の利益を約束する、牧師と教会による詐欺グループが連邦管区の市警によって20日に逮捕された。伯国内外において5万人以上を騙した疑い。23日G1サイト(1)(2)が報じている。
 捜査によれば、この犯罪グループは約200人のメンバーで構成されており、約5年間にわたって活動し、その中には牧師や宗教指導者も含まれていた。彼らは信者を説そそのかし、自分たちが「神から大金を受け取る祝福を受けた者」と吹聴し、洗脳した。
 詐欺グループは「ネサラ・ゲサラ」と呼ばれる都市伝説を利用してこれを正当化した。NESARA(National Economic Stabilization and Reformation Act、ネサラ、国家経済安全保障改革法)は、元は米国コンサルタントが提唱した経済改革案で、米国内の話。
 GESARAはGlobal Economic Security and Recovery Act (地球経済安全保障改革法、ゲサラ)の略でその世界版。まずは、アメリカでネサラ法を制定して金融改革を行った後で、ゲサラ法を成立させ、その過程で税金を廃止して借金を帳消しにし、通貨制度を根本的に変えるというもの。現在の金融システムを終了させて新システムに移行させるという都市伝説的な考え方。
 この詐欺の仕組みは以下の通りだ。犯行は主に教会内で行われ、信者に存在しない財政取引や人道的なプロジェクトに資産を投資する話を持ちかけ、「即時のリターンと桁外れの収益」を約束し、「神から大金を受け取る特別な存在である」と洗脳した。SNSもフル活用して利益を宣伝し、40もの架空の企業を設立、800以上の銀行口座を使用して、同グループは5年間で1億5600万レアル(約46億6千円相当)を騙し取ったとされる。
 経済学者のセザール・ベルゴ氏によれば、信者に請求した金額は空想的なものであり、世界中の富を合計しても、詐欺師たちが約束した金額には遠く及ないという。その額は世界に存在する通貨の1万9千倍であると指摘する。この額は紛れもない虚偽であるにも関わらず、信者たちは巨額の被害を受けた。
 市警は、この詐欺事件の主要な容疑者である2人の牧師、オソリオ・ジョゼ・ロペス・ジュニオール牧師とマリア・アパレシーダ・ゴメス・バルボサ牧師を逮捕した。オソリオ牧師は以前にもマネーロンダリングなどの罪で逮捕された経歴があった。

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