第22回石川県文化祭賑やかに=非日系人にも広がる日本の伝統

文化講座の先生方の紹介

 ブラジル石川県人会(武部清美エリーナ会長)は23、24日に聖市パライゾ区の同会館で「第22回文化祭」を開催した。文化祭は会館一杯を使って行われ、水彩画、生け花、絵手紙、陶芸教室の作品が所せましと展示され、ワークショップも実施された。

挨拶する武部会長

 23日午前10時からの開会式では、各教室で学ぶ生徒ら100人以上が参加し、うち3分の1は非日系人だった。武部会長は「文化祭は県人会にとって誇りある行事。皆さんのご協力のおかげで今年も開催できることに感謝しています。日本文化普及の一助になると願っています」と挨拶した。
 市川利雄ブラジル日本都道府県人会連合会会長は「私は富山県人会会長で、石川県はすぐお隣。以前金沢を訪ねた時、1年がかりで織り上げる織物、金箔を使った素晴らしい工芸品などを見て、何世紀にもわたって築き上げてきた〝小京都〟と言われる文化が今も続いていることに心から感動した」とし、その雰囲気が感じられる同文化祭の意義を称賛した。
 小堀勇ジェラルド相談役は「皆さん天井を見て。これは加賀友禅の布を張ったもの。25年経ってもまったく色褪せず、そのままの色合いを保っている」と説明すると、一同からその美しさにため息が漏れた。ブラジル日本文化福祉協会の蔵力クリスチナ広報担当理事も「一つ一つの作品に日本文化の繊細さ、勤勉さ、集団協調性などの特長が込められている」と挨拶した。
 各教室指導者として水彩画の脇坂グラシエラさん、陶芸の九十九ラッシーさん、古田ヘレナさん、絵手紙の石井恵子さん、山本イクコさん、水谷リツコさん、生け花の河村徳子さん、河村リナさんらが紹介された。
 またプロジェクト・サンキューのヒルトン・カシアノ・ロドリゲスさん、カレン・ハラダさん、カイオ・キタロさんが篠笛、琴などで童謡やアニメ音楽などの演奏を披露した。最後に餅つきとなり、皆が交代で杵を振るった。

 セルジオ・ガルシアさん(79歳)に来場した理由を聞くと、妻が3カ月前から陶芸教室に通っているからといい、「定年してから暇でね、お互いにボケないように文化活動に励んでいるよ」と笑った。
 絵手紙教師の石井恵子さん(79歳、栃木県出身)は「コロナ禍になってから年寄りの参加者が減って、授業がほとんどポ語になった。私がしゃべる言葉を通訳してもらって教えている。若い伯人が一生懸命に習ってくれて嬉しい。いつかブラジル人に広めてほしい」とほほ笑んだ。

絵手紙のベアトリスさん

 期待の星のベアトリス・シルヴァさん(27歳)は、石井さんと一緒に昨年11月、大阪府にある峰たかし先生宅に7日間泊めてもらいながら絵手紙を習ってきた。「『まず絵を描いてみて』と先生に言われ、線の大事さを痛感した」という。大学で美術科を専攻しただけあってセンスが良く、セルラー(携帯電話)でポルトガル語を日本語に翻訳しながら描くのだという。
 小堀相談役は「この会館は1995年に知事が立ち会いのもと落成した。その時に植えた桜が今も玄関で咲いています。その頃は1世が中心だったが、私が初の2世会長。そして今は2世会長が当たり前になり、非日系の参加者がとても多くなった」と時間の移り変わりをしみじみと振り返った。
 文化講座に関する問い合わせは同会館(電話11・3884・8698)まで。

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