帰還米兵の戦利品を日本へ戻す=特攻隊の親戚持つ2世が買い集める

戦利品コレクターの吉永四郎さん

 「アメリカ兵が本国に持っていったものを日本兵の遺族に返したい」――サンパウロ市在住の吉永四郎さん(72歳、2世)は、大戦中に米兵が南洋の戦地から本国に持って帰った戦利品をインターネットで買い集めている。日の丸の寄せ書き、軍服、装備品から零戦の部品まで数百点を買い集めており、その一部を8月27日にブラジル福島県人会で行われた半沢友三郎さんの講演会会場で展示していた。
 吉永さんは25年ほど前、サンパウロ市MASP下の骨董品市を散策していた時、たまたま日本から来た日本人と出会い、「アメリカ人が戦争中に日本から盗んだものを世界中の骨董市で探して買い戻している」と言うのを聞いて感動し、自分もやろうと思い立ったという。その日本人は医師で、わずか1週間の滞在期間中、忙しく骨董市を探し回っていたという。
 吉永さんは「アメリカ人は弾丸が通った穴のあいた日本軍の軍服などを、〝トロフィー〟だと自慢して高値でネット販売している。穴の開いた鉄兜は4万ドルもするんです」と理不尽さを感じている様子。

買い集めた戦利品の一部

 聞けば、吉永さんの日本の親戚は戦争中、特攻隊として出陣して亡くなっているという。「両親から従兄弟が特攻して死んだとよく聞いていました。だから、訪日した際には靖国神社に参拝し、崇敬奉賛会の正会員にもなった」と会員証を見せてくれた。
 靖国神社社務所に戦死した親戚「吉永光雄」の写真を献納すると、彼は海軍二飛曹で神風特攻第5昭和隊の一員として、鹿児島県鹿屋(かのや)航空基地からゼロ戦で出陣して沖縄海域で亡くなったなどの情報を教えてくれたという。
 それもあって「ボクが買った中で一番思い入れが深いのは、ゼロ戦が米海軍艦艇に特攻した際、船側に残された部品。ボクはそれを自分の経済力の範囲内で一つ一つ買い、本来あるべき日本に戻したい。10年以内には靖国神社に送るなどして日本に返したい」と切々と語った。

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