《記者コラム》サンタクルスと援協の不可解な動き=巨額の闇融資の責任は日本政府にも

サンタクルス日本病院の正面

 「僕らはみんな弁当代すら自分で払ってこの会議に出席している。完全ボランティアで極力無駄を切り詰める経営をしている。そうやって貯めた大金を他団体に貸すなんて普通なら絶対にありえない」――9月28日午前、サンパウロ日伯援護協会(以下、援協)の定例役員会の後、同協会がサンタクルス日本病院(HJSC)へ計5500万レアル(16億2600万円相当)を融資する件に関して役員の一人に質問すると、そんな答えが返ってきた。どうも「普通ではない」何かが起きたようだ。
 HJSCの歴史は、1926年に設立された「在ブラジル日本人同仁会」から始まる。「同仁会」は、劣悪だった戦前移民の医療及び衛生環境の整備を目的に、高岡専太郎医師らが中心になって結成した。34年に皇室からの御下賜金を始め、多くの移民が資金を出し合って病院建設が始められ、39年に当時南米最新鋭の病院の一つとなる日本病院が完成した。
 だが日伯が第2次世界大戦で敵国同士となると、同病院は敵性国資産として連邦政府の管理下におかれた。89年に日系人による病院返還運動が起き、90年に経営に日系人も参画する協定が結ばれた。日系人に返還されたのは、経営が行き詰まっていたからだ。当時から苦しい経営であり、日系人がそれを立て直すべく苦労してきた歴史がある。

援協の定例役員会の様子

4月段階ではいったん断っていた巨額融資

 昨年9月、佐藤マリオHJSC理事長が任期半ばで突然辞任し、11月に西国幸四郎医師が理事長に就任していた。去年の中頃から同病院周辺では「医師への給与振り込みや、取引業者への支払いが遅れている」という噂が流れていた。
 今年4月、石川レナトHJSC評議会議長と話をした際、「4千万レアルの融資を援協にお願いしたが断られた。銀行はもう貸してくれない。それがないと大変なことになる。なんとか日本政府、日伯国会議員連盟の先生に特別融資をお願いできないだろうか」という話を聞いた。
 日本政府は現地国の発展に役立つような新規投資への支援はしても、経営上の単なる赤字補填に資金援助することはあり得ない。
 10年ぐらい前から援協幹部の中には「いずれサンタクルスは経営が行き詰まる。そうなったら、援協が買収するしかないだろうな」という意見を公にする人がいたので、援協が融資を断ったと聞いた時、コラム子は首をかしげた。「どうして今救いの手を伸ばさないのだろう」と。
 さっそく複数の援協幹部に聞いてみると「援協も最初は助けようと思って昨年末に1500万レアルを融資した。さらに4千万レアルを融資して欲しいと言うから、今年に入ってからキチンとした外部監査法人にサンタクルスの財政状態を見てもらった。そしたら4千万レアルではどうしようもない状態だと分かったので融資を断った」という話を聞き、1億レアル以上の負債があることを匂わせた。
 それだけの金額だと、さすがの援協も手が出せないと納得し、「いま90年代の二の舞が起きている」と天を仰いだ。覚えている人も多いだろう。1993年8月、経営が傾いた南伯農協中央会に対しJICAが250万ドル(約4億円)の特別融資をしたが、翌94年3月30日に臨時総会を開催して任意解散を決定した。さらに同94年9月30日、やはり窮地に陥っていたコチア産業組合中央会も臨時総会を開き、任意解散を決めた。日系2大農協が立て続けに姿を消した。あれから30年が過ぎた。
 あのとき、日本政府は南米最大の日系農協を助けることはできなかった。南米銀行だって1998年4月にスダメリス銀行へ経営権が譲渡された。「今回もそうなるだろう」――4月の段階ではそんな苦い思いを噛みしめながら、援協幹部から苦渋の決断を聞いた。

長年の経営難が続くサンタクルス日本病院

 ところが8月来、編集部には複数の関係者から「HJSCに4千万レアルも追加融資することになった」「コロニアの知らないところで闇から闇に巨額のお金が動こうとしている」「援協は銀行じゃない」「福祉団体なのにどうして金貸しみたいなことをするのか」「返してくれると本当に思っているの?」「南伯も無理矢理にセラード開発に参加させられて、道を踏み外して奈落の底に落ちた。援協も本来の業務でないことに手を出したら、そこからとんでもない展開になるのでは」などの非難の声が聞こえてきていた。
 HJSCの経営状態が良くないことは以前から何度も記事になっている。2014年12月11日付ニッケイ新聞《サンタクルス病院=負債3分の2、経営大幅改善》にも、石川レナト理事長(当時)の経営努力により《一時は4500万レまで膨らんだ負債は3千万レと3分の2に減》ったある。
 一時は減った負債だが、コロナ禍による患者減少や経営環境悪化にくわえ、医療保険会社からの支払い遅延などが全ブラジルの私立病院の経営を圧迫している。そのしわ寄せが、ここ数年HJSCにも悪影響を与えている。
 加えてHJSCは、保健分野の社会援助慈善団体証明書(CEBAS)でも課題を抱えている。これは、保健分野でサービスを提供する「社会援助慈善団体」として認められた民間の非営利法人に保健省から付与されるもの。これがあれば免税となるので、従業員の給与関連など経営を大きく左右する問題だ。
 この認証を取得するには、病院は売り上げの6割に相当するサービスを、統合医療システム(SUS)の患者に提供しなければならない。これは、ブラジル国民に無料医療を提供する公共サービスで、連邦政府が病院に対して費用を支払う。だが実際にかかるコストの数分の一しか払わないことから、病院側からすればこの割合を増やしたくない。
 でも、その条件をクリアしないとCEBASの正式取得は難しい。そのため、援協ではサンミゲル・アルカンジョ病院、イタペチニンガ病院などの100%SUS医療をする病院の経営権を獲得するなどして、果敢にその条件をクリアする努力を重ねている。
 だが、HJSCではそこまでの対策が取られておらず、CEBASは「保留」のまま更新され、手続きに苦労しているようだ。万が一、認められないなどの事態が起きると、数年分さかのぼって税金を支払う義務が発生するため、一気に負債が激増するリスクを常に抱えている。

総領事とJICA次長がまさかのお願いに

桑名在サンパウロ総領事と江口JICAブラジル所長がサインをした書類の2枚目

 28日の定例役員会後の昼食時、援協の税田パウロ清七会長に担当直入「サンタクルスに4千万レアルを追加で貸すという話は本当ですか?」と尋ねると、「本当です」と少し困ったような顔をしながら返答した。事実関係を確認すると、やはり昨年末に実際に1500万レアルを融資し、この10月に4千万レアルを追加融資することになっているという。
 一端は断った4千万レアルの追加融資の件を、なぜやることになったのかと尋ねると、次のような回答だった。
 「4月の段階ではたしかに一度断った。でもその後7月に改めて石川レナトさん(HJSC評議会議長)が西国幸四郎理事長と共に、桑名良輔在サンパウロ総領事と川村怜子JICAブラジル事務所次長が援協に来て、『なんとかサンタクルスを助けてやってくれ』とお願いされた。しかも、その旨を書いた書面を置いて行った。総領事とJICAに頭を下げられたら、ボクらとしては聞かざるを得ない」との経緯で8月に追加融資することになったと明かした。
 川村JICA次長が、林禎二駐ブラジル日本国大使の妻であることは、日系社会要人なら皆知っている。総領事と川村氏が一緒に来たと言うことは、大使も公認のお願いであると日系社会側としては認識する。
 その文書は総領事館の書式で、桑名総領事と江口雅之JICAブラジル所長がサインをしている。なんとか援協に資金的な協力をしてほしいという要望だった。
 税田会長は、「役員会でも意見が分かれて大変だった。もちろん反対する人もいた。でも、お世話になっている総領事からお願いとあっては、断るわけにはいかない…」と無理矢理押し通したという。「そもそもサンタクルスの名前が『日本病院』だから、何かあったら日系社会全体の評判に関わる。それに、もしも潰れた時、『どうして援協は助けてやらなかっただんだ』と言われる。それならと、貸すことになった。もちろん苦渋の選択だった」と振り返る。
 隣にいた洲崎順副会長も、「サンタクルスからは、最初に貸した1500万レアルをどう使ったという報告も全然ない」と頭を抱える。
 税田会長によればHJSC側からは、「今後、サンタクルス日本病院という名前を残しながら、経営権は××××××××(大手保険会社)に引き渡す方向で話が進んでいると聞いている。そして来年10月から融資の返済を始めると説明を受けています。それに万が一を想定して、病院の土地建物を抵当にして貸している」とのこと。
 当日の定例役員会では援協の金融資産は、HJSCに貸した金額の10倍以上あると報告されていた。確かに融資額は凄いが、融資が帰ってこなくても援協の経営が揺らぐことはなさそうだ。

援護協会が健全経営する日伯友好病院

 とはいえ、洲崎副会長は「あれは余っている金じゃないんです。日伯友好病院の新しい病棟を建て、そこに最新の医療機器を設置するための費用として、大事に大事に貯めてきたもの。必ず返してもらわないと困る」とくぎを刺す。
 後日、某HJSC役員経験者から「あそこの土地建物には5億レアルの価値がある。援協が取りっぱぐれることはない。あんなに素晴らしい立地なのだから、積極的に買ってもいいのでは」との意見も聞いた。
 それを税田会長にぶつけると「たしかに場所は良いが、あの周辺には立派な病院が林立しているから買った後の競争が大変。それに負債総額が未知数なので買うのはリスクが高すぎる」との返事だった。

最悪の場合は日本政府にも責任がある

 取材の帰り際、ある援協幹部はコラム子の手を捕まえて、こう言った。「サンタクルスは経営が苦しいのを隠すように昨年6月、病院創立83周年記念式典を市内有数の高級ホテルで盛大に行った。僕らはそんなことに大金を使う発想はない。僕らはコロニアから生まれた団体なんだから、何が起きているのかをきちんとコロニアに報告するし、公明正大にやるんだ。それになのに・・・」。事実、税田会長は記者の問いかけに普通に答えた。
 今までの流れを総合すると、おそらくHJSC側から日本やブラジルの政治家に協力依頼がいき、そこから日本政府や外務省に「なんとかしてやれないのか」とねじ込まれ、外務省としては仕方なく、総領事館やJICA事務所に「ジェイチーニョ(ムリヤリな手段)を考えろ」と指令が下り、その結果、最終的に「日本政府が援協にHJSCへの融資をこっそりお願いする」形に落ち着いたのではないかとも推測される。
 たとえ、世話になっている日本政府からの頼みでも「ダメなときはダメ」といえる日系団体代表も必要ではないか。「援協は福祉団体から始まった。その原点を忘れたような行動をとり始めたことに不安を感じる」との援協の古株役員の声も聞こえる。
 最悪の想定としては、援協が計5500万レアルを融資したが、その金額では財務整理がおぼつかず、大手保険会社が土壇場でキャンセルするという流れだ。そうなれば巨額融資は焦げ付く。もしくは今回の巨額融資で債務のひどい部分だけ処理して保険会社に売り、借金は繰り延べするとか。年明けぐらいに更なる追加融資をお願いしてくるなどの想定もありえる。
 総領事館やJICA現地事務所が東京の判断なしに動くことはあり得ないから、その場合、日本政府にも何らかの責任があることは間違いない。
 そもそも、サンタクルスが現在の状態になった原因をしっかりと洗い直して反省し、どう経営立て直しをするかという綿密な再建計画がまず必要なはずだ。援協がやったようなCEBASの正式承認を得るための具体的な対策は必須だ。きちっとした再建策もなく、金だけ貸してくれ的なお願いに、日本政府が後ろだてすること自体、本来「普通でない」ものを感じる。
 いくら伝統があっても、経営が良くなければ潰れる。日本政府関係者は日系社会への敬意と好意を持って、サンタクルスの後ろ盾になってくれたのかもしれない。そうであればありがたいことだ。
 だが歴史があればこそ今の時代に合わせた変化は必要であり、それができなければ潰れても仕様がない。潰れるべくして潰れる団体が、健全な団体を巻き込むことの方が不自然だ。しかもその動きの後ろ盾に日本政府がつくなど普通ではない。
 ただでさえ医療業界の競争は激しく、友好病院界隈にも新病院が立って競争が激しくなることが見通されている。健全経営の援協ですら高い危機意識を持っているから、新病棟建設などの新規投資を次々に計画する。それをやらないと自分も危ないからだ。そんな生き残り投資のためのヘソクリを泣く泣く貸し出すのであり、余っている資金ではない。

由緒ある笠戸丸移民組30周年記念碑

 この一文は、誰かを告発するために書いたものではない。だが、金額が金額だけに「このような一大事において、日系社会がツンボ桟敷に置かれることはあってはならない」と考えて書いた。
 サンタクルスは歴史ある病院だけに、結果がどうなろうと、日本移民史にはきちんと書き残すべき出来事では。皆さんはどう思いますか?(深)

 

 

【2023年10月20日追記】
記者コラム「サンタクルスと援協の不可解な動き=巨額の闇融資の責任は日本政府にも」における訂正とお詫び

 3日付本紙4面の記者コラム「《記者コラム》サンタクルスと援協の不可解な動き=巨額の闇融資の責任は日本政府にも」の内容に、事実誤認と偏りなど訂正すべき点があった。記事中に出てきた関係者、特にサンタクルス日本病院(HJSC)、サンパウロ日伯援護協会(援協)、在聖日本国総領事館、JICAブラジル事務所、駐ブラジル日本大使館に謹んでお詫びする。
 総領事館とJICAからは具体的な訂正内容を聞くことができた。だが、HJSCと援協にもコラム内容に関する修正意見などを求めたが、13日時点で返答を得られなかった。援協やHJSCに関し、後日、何らかの声明や文書の掲載を求めてきた場合、応じる意思があることをあらかじめ明記する。コラムが出てから日にちが経つのもよくないと考え、このような形で「訂正とお詫び」を出すことにした。
 援協のごく一部の人の意見を大きく取り上げる形でコラムを書いてしまったために、論調が偏ってしまった部分があった。同団体役員の大多数を代表する意見ではなかったのに、あたかも援協役員の全体の声であるかのように書いてしまったのは間違いだった。
 今回の融資は臨時総会などで正式な手続きをへて決定されものであり、〝闇融資〟ではなかった。今後、経営上のタイミングの問題はあるかもしれないが、日系社会に対していずれかの時点で透明性が確保されることが望ましいと本紙は考える。
 HJSCに関しても《4月末、石川レナトHJSC評議会議長と話》した内容として記した記述を削除した上、7月以降のHJSCの経営状況や再建プランなどに関して同理事会に直接取材していなかったことを深くお詫びする。
 小室千帆首席領事はコラムが掲載された3日に早速、編集部を訪れ、次のように幾つかの指摘をした。
 HJSCの評議会議長と理事長が、援協に対して同病院の財務状況の理解を深める説明の場として設定された7月の会合に、総領事とJICA次長が立ち会った件に関し、HJSCから融資の依頼はあったが、小室首席領事によれば、総領事は「最終的な判断は援協の経営陣がすべきことであり、あくまで援協の健全経営に影響を及ぼさない範囲で可能な支援の検討を依頼しただけ。」と述べた。江口雅之JICA所長も「JICA次長は中立的な立場で同席しただけ」と強調した。
 またその会議で、総領事とJICA所長の署名入りで援協に渡された文書に関して、本紙では《その文書は総領事館の書式で、桑名総領事と江口雅之JICAブラジル所長がサインをしている。なんとか援協に資金的な協力をしてほしいという要望だった》と書いている。だが、小室首席領事からも江口雅之JICAブラジル所長からも「実際とは異なる」と厳重な指摘を受けた。
 特に文書の写真を黒塗りで紹介してしまったことに関し、まるで秘密の内容が書かれているかのような印象をもたせる出し方をしてしまったことを謝罪する。内容にいかがわしい点はなく、融資をお願いする記述はなかった。
 小室首席は、川村JICA次長が同席した意味に関して、「江口所長が帰国休暇中だったので、川村氏は代理で出席しただけ」と説明した。江口JICA所長からも同様の指摘を受けた。「私の部下として代理で行ってもらっただけで、それ以上でも以下でない」とのことだった。
 本紙は次のような憶測を書いた。《今までの流れを総合すると、おそらくHJSC側から日本やブラジルの政治家に協力依頼がいき、そこから日本政府や外務省に「なんとかしてやれないのか」とねじ込まれ、外務省としては仕方なく、総領事館やJICA事務所に「ジェイチーニョ(ムリヤリな手段)を考えろ」と指令が下り、その結果、最終的に「日本政府が援協にHJSCへの融資をこっそりお願いする」形に落ち着いたのではないかとも推測される》
 この本紙憶測に関して、小室首席領事は「政治家から圧力がかかったという事実はまったくない。サンタクルス側から相談を受けて窮状を聞いたが、日本政府としては融資の仕様もないので、そのような判断をした」と同席した理由を説明した。
 江口JICA所長も「政治家の圧力などまったくない。『闇融資』『総領事とJICA次長がまさかのお願いに』などの見出しが誤解を誘う。いったん誤解されると払拭されるのは難しい」と述べた。
 本紙3日付コラムの内容に偏った部分と事実誤認があり、関係者にご迷惑をおかけしたことを改めてお詫びする。
2023年10月20日 ブラジル日報編集部


 ブラジル日報は、3日付本紙4面の記者コラム「《記者コラム》サンタクルスと援協の不可解な動き=巨額の闇融資の責任は日本政府にも」の内容に、事実誤認と偏りなどがあったことを認め、ここに遺憾の意を表明する。記事中の関係者、特にサンタクルス日本病院(HJSC)、サンパウロ日伯援護協会(援協)、在聖日本国総領事館、JICAブラジル事務所、駐ブラジル日本大使館に謹んでお詫びする。
 総領事館とJICAからは具体的な訂正内容を聞くことができた。HJSCと援協にもコラムに関する修正意見などを求め、その内容を適時公開するものとする。しかし、コラムが出てから日にちが経つのはよくないと考え、自主的に「お詫びと訂正」を出すことにした。
 援協のごく一部の人の意見を大きく取り上げる形でコラムを書いてしまったために、論調が偏ってしまった部分があった。
 HJSCに関しても、HJSCの経営状況や再建プランなどに関して同理事会に直接取材せずに憶測で書いてしまったことを深くお詫びする。
 本紙は、各団体・機関との良好な関係を維持しており、その絆を壊す意図は一切ない。今後も同様に、各団体・機関協力しながら、日系社会の発展に尽力することをここに誓う。

2023年10月20日
ブラジル日報編集部


サンパウロ日伯援護協会
2023年10月19日


援協が記録したブラジル日系社会の名誉と誇り

困難とは山のようなものだ。私たちが乗り越えれば、平地に変わる。
 サンパウロ日伯援護協会(援協)は、当初、日本移民の健康ニーズに応える慈善団体として創設されました。時の経過と共にその対象は子孫へと移り、現在はブラジル社会全体を包括するまでになりました。そしてそれは、サンタクルス日本病院も全く同様であります。
 全ての日本人移民とその子孫は、ブラジル国民と共に健康的価値を追求し、それを達成するために勇気ある闘いを行ってます。
 この両団体は、日本政府の後援という名誉のもと設立されたという同様の経緯を持ち、指導者たちの献身に加えて、日本政府、在聖日本国総領事館、国際協力機構JICAの好意的な支援、そして特に日系社会全体のご支持を頂き、今日まで継続されています。
 その意味で、私たちは兄弟だと言えます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でブラジルの医療が切迫した状況に陥ったときも、私たちは国を襲ったパンデミックに対応するためのあらゆる努力を惜しまず、共に戦ってきました。
 そのような団結のもと、兄弟の窮状を理解した援協は、サンタクルス日本人病院を助けるための努力を惜しむことはしませんでした。
 なぜなら、困っている兄弟に手を差し伸べるのは至極当然であり、また、決して強制されるものでもありません。これこそが、援協がこれまで貫いてきた信念であり、そしてこれからも変わることはありません。繰り返しになりますが、もし逆の立場だった場合、サンタクルス日本病院も、私たちに全く同様の対応をするでしょう。

千年の評判はたった一時の行動で決まる

 いつでも、どんなときでも、援協は、日系社会、特に日本政府、在聖日本国総領事館、JICA、サンパウロ日伯援護協会 – 援協、そしてサンタクルス日本病院の行動指針のもと、明確かつ透明で合法的な手段を用いて、必要とする人々に尊厳を持って公衆衛生に携わるという主要かつ唯一の目標に邁進しており、今後も継続しています。
 このように、サンタクルス日本病院に提供された支援は、志を同じくする者同士であるがゆえであり、なおかつ、緊急の状況にあること、すべての支援が常に公衆生の社会的目標に基づいて行われ、日本人がブラジルにもたらした尊厳の基準の中で、安全性が保証されていることを、このメディアを通じて明らかにする必要があると考えました。
 さらに、これらの会計はすべて透明性を持って公開され、ブラジルで最も有名で最も評価されている監査人によって監査されています。援協が、ブラジルのすべての政府機関より高い評価と信頼を受けていることが、それを証明していると言えます。
 最後に、サンパウロ日伯援護協会 – 援協およびサンタクルス日本病院は、この有名な新聞の紙面をお借りし、改めて心より感謝の意を表します。
 日本政府、在聖日本国総領事館、国際協力機構JICAそして日系社会よりお寄せ頂いた信頼を、援協の全役員一同大変名誉に思います。


Em relação à matéria publicada no dia 03 de outubro de 2023 na página 4, este jornal, se retrata em escusas perante todos os envolvidos, pois o comportamento honrado das entidades e dos órgãos citados, são de enorme respeito desta redação.

2023年10月3日付4面に掲載された記事に関して、本紙は関係者各位に謝罪する。言及された団体や組織の名誉ある行動は、本編集部にとって多大な敬意に値するものだからである。

2023年10月19日
ブラジル日報編集部

 

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