ブラジル北東部ペルナンブコ州レシフェ大都市圏のカマラジベ市タバチンガ地区で、銃撃戦に巻き込まれ、頭を撃たれて昏睡状態が続く中、アナ・レチシアさん(19)が女児を出産した。警察官2人、犯人とその親族5人を含む8人が死亡した大量殺人事件から18日後の2日未明に、この出産は行われた。同日付G1サイト(1)(2)が報じている。
レチシアさんは9月14日、自宅で撃たれた。アレックス・ダ・シルヴァ・バルボザ(33)容疑者は彼女を人質にとり「人間の盾」として利用し、2人の警官を射殺した。事件の概要は以下の通り。
9月14日の午後9時頃、発砲の通報を受けた警察官2人がタバチンガ地区へ向かった。アレックス容疑者には前科がなく、正式登録された銃を所有していた。警察が現地に到着すると、アレックス容疑者は近所のレチシアさんの家に逃げ込み、そこで銃撃戦が始まった。
警官2人の頭に銃弾を浴びせ、容疑者は逃亡。妊娠7カ月だったレチシアさんも銃撃で負傷し、左目の視力の一部を失い、脳に損傷を負った。当時、彼女は3歳の長男を入浴させているところで、警察から逃走した容疑者の「人間の盾」となったとみられる。
レチシアさんのいとこの少年は、撃たれた彼女を病院に連れて行こうと車に乗せるのを手伝っていたところ、駆けつけた別の警官に殴り倒された挙句に、後頭部を撃たれたが、一命は取り留めた。レチシアさんの兄は、警察官から拷問を受けたと語り、彼女を病院へ連れて行くために乗っていた車も、路上で銃撃の標的とされた。
翌日15日の未明には、アレックス容疑者の家族が何者かから報復を受け、容疑者の兄弟のうち3人が覆面した男たちに銃撃され死亡した。この事件はインスタグラムでライブ配信された。その後、アレックス容疑者の母親と妻の遺体がサトウキビ畑から発見され、容疑者自身も警察との銃撃戦の末に死亡した。
レチシアさんはレシフェ市中心部のデルビ地区にあるレスタウラソン病院に搬送されたが、家族の要望があり、安全上の理由から別の病院に移された。
レチシアさんの家族を弁護するアリーネ・マシエル氏によると、母体の健康状態が悪化したために出産は行われた。「ヴィトリアという女の子です。30週で生まれ、人口呼吸器をつけているものの、とても元気です。レチシアさんは重度の感染症と合併症を抱えており、そのために赤ちゃんを取り出す必要がありました。現在、彼女は非常に困難な健康状態であり、私たちにできることは祈ることだけです」と弁護士は語った。