中国とブラジルの2国間が初めて、現地通貨による商取引を行い、人民元で融資・決算された金額が、直接レアルに換算されたと、3日付エスタード紙など(1)(2)が報じている。
中国第4位の国有銀行である中國銀行のブラジル支店によると、今回の取引は中国の上海に拠点を持つサンパウロ市の企業、エルドラド・セルロース社からの紙パルプ購入で、製品は8月にサントス港から青島港に出荷された。金融取引はその翌月に行われ、9月28日にブラジル通貨で最終的に決済された。
同取引は中国国内で広く話題となり、中国の国営テレビ局であるCCTVや、ソーシャルネットワークのWeiboなどで取り上げられた他、シンガポールと台北のメディアでも報道された。これは、「中国とブラジルの貿易史における画期的な出来事で、他の企業にも道を開くだろう」と評された。
CCTVが国際視聴者向けに制作した英語ニュースチャンネル、CGTNの記者である沈詩偉(シェン・シウェイ)氏は、「多極化された世界にとって良いニュース」とし、これは中国とブラジルだけでなく、インドなど、他の新興国が積極的に探求している地政学的な目標だと指摘した。
2022年末時点でブラジル外貨準備高における人民元は総額の5・37%を占めて第2位となり、それまでの2位だったユーロ(4・74%)は3位に下がっていた。(3)この人民元との関係強化の動きは、ルーラ大統領が今年4月に北京を訪問し、習近平国家主席と自国通貨による二国間貿易を促進する覚書に署名したことによって強まっていた。
ルーラ氏はこの時、上海に本部がある新開発銀行(通称BRICS銀行)を訪問し、ジウマ・ルセフ氏の正式な総裁就任式に出席。即興スピーチの中で、ドルで行われている貿易に代替案を模索する必要があると主張した。高金利のためにドルの価値が上昇していたこともあり、「なぜ我々は自国通貨で取引できないのか。誰がドルだと決めたのか。輸出がドルに左右される現在の状況を少しでも安定させるために、自国通貨での貿易が必要だ」と指摘していた。
中国と現地通貨建て取引を検討している他の大手ブラジル企業は、パルプ企業のスザノ社や石油公社のペトロブラスだ。両社の幹部によれば、これは中国の輸入業者からの要求だと報じられている。