世界最大級のタトゥー(入れ墨)イベント「オールスター・タトゥー・コンベンション」が9月29日〜10月1日に米国フロリダ州マイアミで開催され、リオ州ジャカレパグア出身のブルーノ・フレイタスさん(43)が優勝した。46カ国から900人以上のタトゥー・アーティストが集結して腕を競い合う中、ブラジル人が見事栄冠に輝いたと、4日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じている。
ブルーノさんは州大会での優勝経験はあるが、国際大会での優勝は初。同氏は伝統的な東洋のサムライのタトゥーでトップに立った。
会場で実際に彫る審査も行われるが、すでに半年前から準備が進められてきた。同僚であるアンドレ・サンタナさんの体へデザインを入れ、背中、お尻、太ももの半分に施された作品は約120時間を要した。通常、同様の作品を制作するには1年以上かかるが、ブルーノさんは記録的な速さで仕上げた。
「注目を集めたのはタトゥーの侍の体にも繊細なタトゥーを入れたことだ」と話す。彼が得意とするスタイルはヤクザ風「イレズミ」だと言い、絵柄の各要素に隠れた意味やシンボルが含まれていると説明する。
ブルーノさんは渡米8年半が経過、今では中級レベルの英語を話すまでになった。だが当初は簡単ではなかったと振り返る。床で寝て飢えに耐え、生きるために必死に働いた。ハンバーガー、ナゲット2個、ソフトドリンク、ポテトがセットになったお子様メニューを4ドルで購入し、1日かけて消費して空腹をしのいだとか。
フロリダ州の公共交通機関は非常に不便だと感じており、移動手段は徒歩、自転車、スケボーを利用。転倒して怪我をした時、病院にも行けず傷口を瞬間接着剤で閉じたとも。「病院にかかるお金なんてなかった」と苦悩を滲ませる。
フロリダ州の気候について「風が吹かないので、体感温度が非常に高い」と、リオよりも10倍暑いと話す。それでも母国の治安の悪さに比べたら住みやすいのだとか。他州への移住も考えたが、「ここで根を下ろし、顧客を持っている」と語る。
現在は自分のスタジオを持ち、軌道に乗っているが、リオで13〜14年間続けたタトゥーアートのキャリアを捨て、アメリカで運を試すことは難しかったと語る。「幸運なことに私の仕事はこちらで受け入れられていて宣伝の必要もない。自分の作品が賞賛され、感激している」と言う。今や自身のブランド「Black Kimono Tattoo」を持ち、州で高評価を得ているスタジオの一つに成長。予約待ちは最大6カ月になることもある。