9月30日午後、アマゾナス州内陸部ベルリ市で巨大な地滑りが起き、川岸にあったアルマンと呼ばれるコミュニティが姿を消した。
川岸の渓谷が滑り落ちる現象は「崩落地(terras caídas)」と呼ばれ、乾季に発生することが多い。1日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)によると、今回の崩落地では、住民約300人が被災。家屋45軒がプルス川に押し流され、少なくとも2人が死亡、10人が負傷した。危険な状態にある家屋は30軒あり、行方不明者3人の捜索も継続中だ。
住民達は地滑りの兆候を当日の昼過ぎから感じ、夕刻に体感した地滑りの様子を「森が崩壊し始めると『地震だ』と叫ぶ人もおり、ドーンという音が聞こえる度にさらに森へ逃げ込んだ」と語っている。
この出来事の直後、気になったことがある。それは2011年1月にリオ州山間部で起きた大水害以降、自然災害に関するリスクのマッピングなどが行われているはずだが、崩壊地に関する調査や警告はなかったのかということだ。
この疑問に対する答えは4日付G1サイト(7)の記事の中で見つかった。それによると、鉱山動力省傘下のブラジル地質調査所(SGB)が2014年7月の調査後に作成した報告書には、「土壌には約90メートルにわたる地滑りの『傷跡』があり、その過程が進行中であることを示している。雨が降ると傷跡の中央に水が集まる」「崖周辺では浮くものが倒壊して埋没する危険性がある」とある。
また、この地域は粘土質で、川が折れ曲がる場所に近く、水流による土地の浸食も起こると指摘。消滅した村と重なる領域に赤でマーキングされた写真も添えられていたという。この報告書は、ベルリ市内で洪水や土砂災害の危険性が高い地域と非常に高い地域を特定するための緊急行動に関する調査の一部だった。
SGBによると、アマゾナス州内には水文学(水循環系学問)的及び地質学的リスクにさらされている地域が361カ所あり、ベルリ市を含む119カ所は崩壊地に関連したリスクがあるという。
崩壊地が乾季に多い理由は、雨季に大量の雨を吸い込み、重くなった土砂層が、乾季による川の水位低下によって地盤的な支えを失い、粘土質や岩盤といった水を吸い込まない層の上を滑り始めるためであることがわかっている。
予告された悲劇が地図上の村を消滅させた。ローマ法王は4日も気候変動問題に触れ、「現在はいつ破裂してもおかしくない状態」と発言したが、危険を予告されても、無対策のままでは惨事が起こることをアルマン村の出来事は教えている。(み)
(3)https://bncamazonas.com.br/municipios/empresario-emerson-melo-socorro-tragedia-aruma/
(5)https://www.metropoles.com/brasil/amazonas-vila-aruma-destruida-erosao
(6)https://horacampinas.com.br/tragedia-vila-no-interior-do-amazonas-e-engolida-pela-erosao/