ブラジル発祥の国際的音楽フェス=イスラエル国境付近で開催、ハマスの標的に

ブラジル国内で開催された「ウニヴェルソ・パラレロ」の様子(公式インスタグラムより、https://www.instagram.com/universoparalello/?img_index=1)
ブラジル国内で開催された「ウニヴェルソ・パラレロ」の様子(公式インスタグラムより、https://www.instagram.com/universoparalello/?img_index=1)

 イスラエル南部のガザ地区近郊で開催中の電子音楽の国際的野外フェス「ウニヴェルソ・パラレロ」の会場が7日、過激派組織ハマスによる侵攻の標的となり、260人以上が死亡した。同イベントは通常、ブラジルのバイア州で年末年始を挟んだ1週間の日程で開催されるもの。今回はワールドツアーと題してイスラエルで特別に催行されていた。8日付テラサイトなど(1)(2)が報じている。
 ダンス音楽を夜通し流し続けるレイヴイベント「ウニヴェルソ・パラレロ」(「並行世界」の意)は、トランスミュージック(テクノやハウスと呼ばれるエレクトロニック音楽から派生したダンスミュージックの一種)の先駆者である「DJスワルップ」ジュアレス・ペトリロ氏らにより2000年にゴイアス州で誕生した。
 このジャンルにおいて国際的に有名なブランドの一つとなり、特にエレクトロニック・ミュージックのサブジャンルであるサイケデリック・トランス(高いテンポと特徴的な4/4拍子のリズムを持ち、幻想的で宇宙的なサウンドが特徴)において高い評価を受けた。ジュアレス氏は伯人大人気DJ「アロック」の父親としても有名。
 03年にバイア州に移り、現在までイトゥベラ市プラチージ海岸で続けられていて、約3万人の観客が集結する。以前は隔年開催だったが、好評により頻度が増え、今年の年末も決定している。
 同イベントの人気を受け、国外でもティーザー・パーティーが開催されるなど、国際的な影響力を持つまでに成長し、今回イスラエル版が決行され、それがガザ地区から車で10分ほどの国境付近だったため、ハマス侵攻の犠牲者を多く出すことになった。
 この侵攻は、過去数十年で最も大規模で破壊的なものであったと報じられており、イベントに参加したジュアレス氏自身やブラジル人ファンら一同はミサイルの爆発や銃撃の恐怖体験を証言している。
 ジュアレス氏の息子DJアロックによれば、同イベントのライセンスを供与したのみで、実際のイベント主催者ではなかったという。ブランドの使用許諾をイスラエルのプロデューサーに与え、その後、プロデューサーはイベントを計画、ジュアレス氏自身はアーティストとして出演を依頼されたとの経緯が明らかにされた。
 DJアロックは自身のXで、ジュアレス氏はイスラエルの避難所に退避していると明かし、「父は安全な避難所にいて、ブラジルに帰国する指示を待っている」と父親の無事を知らせた。

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