□街角ちょっと見□「ブラジルの日本食」の極み

客との濃厚な会話が〝持ち味〟の村上シェフ

 弊紙10月3日付ブラジル万華鏡コーナーで報じた、ベージャ誌2023年度「Comer&Beber」和食レストラン部門で、2年連続で栄えある1位に輝いた「レストラン村上」(https://www.murakamimu.com/)に、久しぶりに足を運んだ。
 その日は特別に午後7時半からジャズバンドのマルチンス・ピザレリ・トリオの生演奏があった。サンパウロ市ブルーノートなどで演奏するためにニューヨークから来ブラジル訪問、現在各地で公演中だ。

食べ応えたっぷりのセミエビ焼きポン酢

 目と鼻の先で繰り広げられる迫力の本場ジャズにまずビックリ。有名映画主題歌のメロディが極限まで崩されつつもしっかりと調和を保つ音の職人芸にため息。13日にも再度同店で生演奏が見られるという。
 9時からの夕食では、10人余りがカウンターにスラリと並び、旨味が詰まったセミエビの柚子和え、美食の極みとも言えそうな削りたてトリュフとキャビアが乗ったトロのたたき、正統派の寿司の盛り合わせ、メバルでダシをとった旨味たっぷりのウニのパスタ、食べ応えたっぷりのセミエビ焼きポン酢、知らずに食べたらヒレカツと勘違いしそうなほど味が濃厚なマグロフライが次々に出てきた。

マグロフライ

 その最中、日本酒「越乃一本〆」から始まり、日本を代表するとも言える有名日本酒「獺祭(だっさい)」などもグラスに注がれる。
 村上強史オーナーシェフ(56歳、北海道出身)は「国内はもちろん、世界中からサンパウロに来たビジネス客が立ち寄られますよ」と話す。色々な特別プログラムがあり値段は日によって異なるが、470レアルから食べられる。

ウニのパスタ

 一通り作り終えると、カウンター越しに「村上劇場」の一人語りが始まる。当地で手に入る最高の食材をそれにふさわしい方法で食べさせるだけでなく、客とのこのコミュニケーションの濃厚さが「ブラジルの日本食」の極みだ。(深)

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