インターネット上に出回るディープフェイク動画(人工知能AIを駆使して作成された偽動画)を分析したところ、その98%がポルノであり、ほとんどが女性に関するものであることが判明した。10日付テラサイト(1)が報じている。
この調査は米国のサイバーセキュリティ企業「ホーム・セキュリティ・ヒーローズ」が行ったもので、ネット上で入手可能な9万5千本以上の動画を対象に行われた。
「2023年ディープフェイク動画の実態」と題されたこの調査は、85以上のチャンネルと100以上のウェブサイトを分析したもの。アダルト素材への利用に加え、AIでフェイク動画を作成する新たなツールの増加についても調査している。
男女別に見るとディープフェイクポルノの99%は女性が関係しており、有名人作品の大半は韓国の女優や歌手に関するものだった。世界的なKpopや韓国ドラマ人気を反映していると見られる。性的要素を含まない動画になると、女性の割合は77%に下がる。
アダルトコンテンツのウェブサイト上ではこれらの動画へのアクセスが簡単にできる状況だ。調査によると同分野の上位10ウェブページのうち、7つでこの種のフェイク動画が見られるという。
動画数は19年に比べて550%も増加。特にポルノの場合、昨年は3500本強だったのに対し、23年には既2万1千本以上の動画が確認され、464%の増加だと調査で明らかになった。
23年の生成AI技術の急速な進化に伴い、ディープフェイクを作成するためのツールがより身近になったことが関係する。動画を作成するための様々なツールが溢れ、特定のアプリケーションをダウンロードしなくてもブラウザ経由で素早く加工できる無料ツールがネットに転がっている。
この調査によると、ディープフェイクを作成するプラットフォームのうち、3つに1つはポルノ動画の生成に対して何の制限も設けていない。これらのツールは平均わずか25分で、静止画像1枚から60秒までの性的なコンテンツを無料で生成することが可能だという。
人の顔を置き換える動画は、さまざまな意味で脅威を表す。性的使用やオンライン詐欺、フェイクニュースの拡散などだ。特にフェイクニュースの場合、Googleはすでに米国の選挙期間中、AIによって生成されたコンテンツに識別ラベルを追加する動きを進めている。
総じて、この研究結果は生成的な人工知能の規制に再び警鐘を鳴らしている。Microsoftや「ChatGPT」の開発元であるOpenAIなどの大手企業は、これらのツールの開発に規制を設けるように要請している。