アマゾン創業者で世界第3位の大富豪として知られるジェフ・ベゾス氏に、米国フロリダ州マイアミのプライベート・アイランドにある4億レアル(約118億円)の豪邸を、ブラジル人男性が売却した。このブラジル人億万長者とは誰か。17日付オ・グローボ(1)が報じている。
マイアミビーチの北にあるビスケーン湾エリアに位置し、「億万長者バンカー」の異名をもつ人工島インディアン・クリーク・ビレッジにある、7ベッドルーム、1700平方メートルの広さを持つこの不動産に、ベゾス氏は7900万ドルを支払った。
このエリアには30の豪邸、ゴルフクラブやレジャー施設があり、米国最高の富豪が集まる場所とされている。同エリアの所有者には、ジゼル・ブンチェンの前夫トム・ブレイディ氏、イヴァンカ・トランプ氏、投資家カール・アイカーン氏、歌手フリオ・イグレシアス氏などが含まれる。
米国総合情報サービス企業大手「ブルームバーグ」によると、ベゾス氏は6月には6800万ドルで近隣の豪邸を購入していた。この度、彼がさらに購入したもう一軒は、「インディアン・クリーク1号LLC」として登録された物件で、2014年に2400万ドルで購入されていた。不動産専門サイト「ザ・リアル・ディール」は、この物件の背後にブラジル人レオ・クリス氏がいることを明らかにした。
最近では半ば忘れ去られていたレオ・クリス氏。だが、75歳の今もなお新世代の投資家にとって「生きる伝説」とされ、ブラジル金融市場で最も恐れられる投資家の1人だ。
クリス氏はドイツ生まれだが、1950年代後半からブラジルに移り住み、父親が電子機器メーカー「エバディン」を設立した。父の死後、クリス氏が70年代に引き継いだ同社は、マナウス自由貿易地域に最初に進出した企業の一つとなり、同社は三菱のテレビやモトローラの携帯電話などを組み立てた。同氏はエバディンの売上高が10億米ドルに達した96年、その年の最大功労者に贈られる「マン・オブ・ザ・イヤー」を在伯米国商工会議所から受賞した。
クリス氏はまた、ビデオゲームメーカー、テクトイの主要パートナーのひとりとなり、電子機器事業以外にも、投資会社および銀行を含む、金融持ち株会社「テンデンシア」を所有していた。これによりクリス氏は、80年代にブラジル証券取引所最大の投資家の一人となり、ライバルのナジ・ナハス氏と争った。