2輪レースでブラジル人が歴史的勝利=19歳モレイラが涙の表彰台

優勝したモレイラ氏(Divulgação MotoGP)
優勝したモレイラ氏(Divulgação MotoGP)

 世界ロードレース選手権MotoGPクラス(国際モーターサイクリズム連盟)第15戦インドネシアGPが15日(日)に開催された。Moto3クラスでは1位に聖市出身のデイエゴ・モレイラ(MT Helmets – MSI)、2位にコロンビア出身のダビド・アロンソ(Gaviota GASGAS Aspar Team)、3位にスペイン出身のダビド・ムニョス(BOE Motorsports)となった。同GPで唯一、南米出身の2人が上位2位を占める快挙を遂げた。15日付オ・グローボサイトなど(1)(2)が報じた。
 MotoGPはFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が主催する二輪レースの最高峰の世界選手権。16歳から28歳までのライダーが参加するMoto3クラス(排気量250cc)、Moto2クラス(765cc)、そして300馬力以上で新幹線よりも速いMotoGPクラス(1000cc)の3つのクラスが、ヨーロッパやアジアなどを舞台にレースを競っている。
 レッドブル・サイトなどによれば、ブラジルでは1987~89年にゴイアニアサーキット、90年にインテルラゴス(聖市)、95年~04年までジャカレパグア(リオ・デ・ジャネイロ市)でレースが行われていたものの、活躍したライダーは86年~07年のアレックス・バロス氏のみだった。
 南米出身のライダーが少ない要因として、ライダーへのサポート不足やマシンが充分でないことが挙げられている。バロス氏やHondaがスクールを創立する等、尽力しているが未だ世界レベルには力が足りていないのが現状だ。しかし、来年はラテンアメリカ・タレント・カップ(ドルナスポーツ)が開催予定。トップ3はルーキーズカップ出場権が獲得できるなど若手ライダーに門が開かれそうだ。
 今レースで優勝を果たしたモレイラ氏は04年に聖市で生まれた。父は元モトクロスライダー。08年、4歳の時にバイクに乗るようになり、幼少期の頃キャリアを積むため、家族でスペイン移住を決断した。
 21年、レッドブル・ルーキーズカップに参戦しMTHelmets-MSiからMoto3参戦の権利を受け、翌年22年にデビュー。参戦1年目にも関わらず、年間チャンピオン8位という好成績を収めた。今シーズン前半ではチャンピオンシップを争っていたが中盤から低迷。先週の第15回インドネシアGPでMotoGPキャリア自身初となる優勝を飾った。今レースでモレイラ氏は調子を取り戻したようだ。
 ブラジル人がMotoGPで優勝するのは2005年のアレックス・バロスライダーの500CCクラス(現MotoGPクラス)以来で、実に18年ぶり。Moto3クラスでブラジル人ライダーが優勝するのは初のこと。MotoGP史上でも歴史に刻むレースとなった。
 ブラジル国歌が表彰式で響く中、モレイラ氏は終始涙が止まらなかった。インタビューでは「すごく嬉しい。今日、僕にとっての初めての優勝ができた。チームと家族に感謝しなきゃいけない。これからも優勝を狙っていく」と語った。
 今レースのモレイラ氏は予選時から調子が良くトップタイムをマークし、本戦は1番グリットでスタートした。スタート時は先陣を切ったものの、途中で6位にポジションに落とすなど苦戦模様のレース展開だったが、最終ラップで見事1位に返り咲いた。
 モレイラ氏は、来年からイタルトランス・レーシングチームからMoto2クラスに上がることが決まっている。Moto2クラス(250ccクラスを除く)で走るブラジル人ライダーはモレイラ氏が初だ。19歳という若さで急激な成長を遂げていることから、今後の活躍に期待が集まっている。

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