海外日系人協会は16~18日、東京都のJICA市ヶ谷ビルにて「飛躍するニッケイ社会へ―期待される新時代のイニシアティブ」をテーマに「第63回海外日系人大会」を開催した。対面式での開催は4年ぶり。大会の様子はオンラインでも配信された。大会初日には秋篠宮ご夫妻がご出席され、田中昭彦JICA理事長、石川レナトブラジル日本文化福祉協会(文協)会長が講演を行った。
開会挨拶に立たれた秋篠宮殿下は、若い世代がコロナ禍による困難を打破するため、オンライン技術を駆使して国境を越えた新たな連帯関係を生みだしていることに対し「大変心強く感じます」と述べられ、「日系社会のさらなる飛躍に向けて地域や世代、日系・非日系の違いを超えた活発な議論が展開されることを期待いたします」と大会への想いを語られた。
田中理事長は基調講演として、世界各地の日系社会について講演。各国日系社会がその国の農業や教育、医療、政財界など幅広い分野に貢献し、団体活動を通じて「正直」や「勤勉」といった日本の伝統的価値観を継承していることに敬意を表し、コロナ禍によって断たれた各国日系社会同士の関係は、修復するだけでなく、これを新たな関係を構築する機会として活用し、新たな社会が生み出されることへの期待を語った。また、日本国内の在日日系人の存在は、日本における多文化共生社会実現に大きく貢献していると述べた。
石川文協会長は海外日系人を代表して登壇し、ブラジルの日系社会について講演を行った。講演ではブラジル日系社会がブラジルで信頼ある存在として扱われていることを説明し、「私たちブラジル日系人は日本をルーツに持つことを誇りに思っています。日本人も、日系社会に対し誇りを持ってほしい」と述べた。また、日系4世ビザの条件緩和を求めて「日本を知る若い日系人が増えることは、ブラジルと日本の同盟関係をさらに強化するための財産になる」と語り、在日ブラジル人の存在は「日伯間の距離を縮める非常に重要なパイプになる」と述べた。
討論会報告コーディネーターを務めた松本アルベルト氏も登壇し、安倍晋三元総理大臣が遺した日伯関係についての「Juntos(共に)」のスピーチを引用し、日本の関係機関や団体に「柔軟性」と「スピード感」、「失敗を恐れない姿勢」をもって、日系社会と更なる関係構築を進めていくことを求めた。
大会2日目にはパネルディスカッションが行われ、最終日には世界の日系人と在日ブラジル人のスピーチ、大会宣言発表が行われた。