サンパウロ市のコンサルタント会社テンデンシアス社予測によれば、今後10年間に計画されている一連の公共投資と民間投資により、北東伯(ノルデステ)は2025年から33年にかけて国内で最も経済成長率の高い地域になると期待されている。22日付フォーリャ紙(1)が報じている。
テンデンシア・コンスルトリア社のエコノミスト兼アナリストのルーカス・アシス氏は、ノルデステが大成長を遂げることは良いニュースだが、「必ずしもそれだけで地域格差問題が全て是正されるものではない」とくぎを刺す。
例えば、南東部で計画されている投資は、金額ベースではノルデステでの投資額を上回るが、経済規模に比例して小さい。つまり、より発展した地域では、投資による経済効果は小さくなる。
「国内総生産(GDP)の成長率では、ノルデステが今後10年間の成長を牽引する地域になるだろう。今後数年間は投資が同地域を押し上げるとみられるが、ブラジル経済のメインエンジンは南東部であり続ける。ノルデステ成長に期待が寄せられているが、少なくとも今後10年間において、国内の経済的不均衡の大幅改善につながるわけではない。経済的脆弱性と顕著な不平等は続く」とアシス氏は言う。
例えばノルデステでは、ペトロブラス社がペルナンブコ州イポジュカ市にあるアブレウ・イ・リマ製油所に約80億米ドル(約1兆2千億円)を投資し、国内の精製能力を拡大している。日量11万5千バレルの精製能力を持つ1号機は14年から稼働しており、27年に稼働開始予定の第2号機により、日量15万バレルの精製能力を追加することになる。
同州北部のゴイアナ市では、フランスの自動車メーカーであるステランティス社がサプライヤー・パーク拡張のために約15億米ドルを投資する予定。
もうひとつの目玉は、ノクシス・エナジー社がセアラ州のペセン工業団地に製油所設立のために約8億千万米ドルを投資することだ。
ペルナンブコ連邦大学(UFPE)経済学教授のエシオ・コスタ氏は、ペルナンブコ州内で約1千億レアル(北東部全体で7千億レアル)に上る新PAC(経済活性化計画)の投資計画の重要性を強調する。
「北東部には大きなインフラ公共投資が必要で計画されているが、実際にどれだけ実現されるのか、現実的に検討する必要がある。過去のPACは完了率が非常に低かった」とコスタ氏は説明する。新PACプロジェクトリストの半分近くは、過去の計画から復活した項目で占められている。
ボルサ・ファミリア・プログラムの支給額が増えたことで、その受給者がノルデステに集中しているため、同地域の購買力が向上し、食品・飲料産業などのセクターに好影響を及ぼす可能性があることにも言及した。
アシス氏は、これらの予測や投資における主なリスクの一つは、公共部門に関連するプロジェクトの実行力であり、財政状況の悪化により公共支出が制約される可能性があると指摘している。今後の高金利、高インフレ、および新興国への資金流入を制限する世界的な不確実性が、民間投資を困難にする可能性があると指摘する。
テンデンシアス社は25年から33年までの国内平均成長率を2・5%と予測しており、これは96年から05年までの成長率とほぼ同じだ。だが、経済が落ち込む直前の06年から14年までの平均成長率の3・5%を上回る可能性は低いと見ている。