カタール在住のネパール人についての話の前に、2022年末の在日ネパール人のデータについて取り上げたい。
少子化による人口減少の進む日本では、将来的には高度人材だけでなく一般労働力の不足を補うための解決策の一つが外国人労働者の受け入れである。日本の出入国在留管理庁が発表した令和4年(2022年)末の在留外国人数は307万5213人(前年末比31万4578人、11・4%増加)で、過去最高を更新して初めて300万人を超えた。
表の通り、2022年末の在留外国人数は上位10カ国・地域でいずれも前年末に比べて増加している。前年からの増加人数だけを見ると2位のベトナムが5万6378人と最多であるが、2021年末との前年比では7位のインドネシアが65%増とトップで、6位のネパールが43%増と続く。
アジアの経済力の低い国で生まれた若者は、自国で働くだけでは人生の選択肢が狭められるため、やる気のある若者なら海外で働くことは将来に活路を見出す選択肢となる。
特に日本で過去20年近くの内に増加した在留外国人がネパール人である。2022年末にネパール人は13万9393人が登録されたが、海外を見渡すと非公式データでマレーシアには2020年に推定約38万人(2016年には最高の約70万人)、2番目にカタールで現在公式に36万4389人が登録されている。他にもインドや湾岸諸国で多くが就労している。ブラジルには2020年には100人にも満たないネパール人しか居住していなかったが、今も同じ状況である。
現在、ネパール国外で2番目に多いネパール人が居住するカタール。町を歩けば、ショッピングモールの飲食店の店員、休日に散歩する家族、そして、ネパール人のレストランや民族衣装店が立ち並ぶ通りなど、どこに行ってもネパール人の姿が町に溶け込んでいる。
アジア地域の真ん中付近に位置するネパールから、東は日本、西は中東まで、冷静な人生設計の選択肢としてエネルギッシュに外国を自らの就職先として働きに出ている多くのネパールの人々。
日本でも存在感を増しているネパール人の一端を知るために、ブラジルと日本の中間地点のカタールで、最初に在カタール・ネパール大使館を訪問して、ナレシュ・ビクラム・ダカル大使に話を聞いた。
本紙からの取材ということでブラジル日報とポルトガル語新聞ブラジル・ニッポン・ジャーを寄贈し、そのお返しにはネパールの特産品であるオーガニックのグリーンティーをいただいた。(続く、取材:大浦智子)