現在、チリ・サンチアゴで行われているパンアメリカン競技大会(パンアメリカンスポーツ機構主催)の中で、24日に行われたブラジル対キューバの野球試合で、ブラジルが4対2でキューバに勝利したとUOLなどが報じた。同大会の野球競技で12個の金メダルを獲得しているキューバに勝つことは「ブラジル野球史上歴史的快挙だ」と、現地入りしているブラジル野球連盟の大塚ジョルジ会長ら関係者は大喜びしている。すでに4位以内を確定しており、同大会初の好成績となっている。
ブラジル代表はベネズエラに3対1、コロンビアに8対7で勝利。今のところ負けなし、100%勝利でリーグ戦を上り詰めた。さらに25日のトーナメントでもパナマ戦で5対3と競り勝ち、全勝を続けている。この成績はすでに、同大会にてブラジルが5位に入った1963年以来の好成績だ。
特に活躍を見せているのはベネズエラ戦、キューバ戦共に先発で投げて、強力な敵打線を見事に抑えたフィリッペ・ナテル投手(ヤマハ野球部)で、現時点では「大会最優秀選手」に選ばれている。
今大会のブラジル代表チームには、欧州、北米、日本で活躍するプロ選手の他に、アマチュア選手も多くいる。その中には、溶接業を本業としているラファエル・バルボサ・マホーン氏、歯科医のサルモン・コバ氏や日本食レストランで料理人をしているナオキ・タカノ氏らがいる。
コバ氏は日本の高知ファイティングドッグス(FD)でプロとして活躍していた経験を持つ。現在はサンパウロ市パウリスタ大通りで歯科医として働いており、週末にトレーニングを続けていた。
またナオキ・タカノ氏もアマチュア参戦した一人だ。タカノ氏は、サンパウロ市リベルダージ区のレストラン「dozo」(Rua Américo de Campos, 76)で働く。同店はブラジルでは数少ない野球をモチーフにしたレストランで、数多くのサインボール等が置いてある。
当地で野球は、サッカーやバレーボールに比べて知名度は低い。野球が広まったのは日系社会発であり、サンパウロ州、パラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州などを中心に試合が行われていた。野球W杯や五輪に野球競技があった時代には、アメリカやキューバといった強豪国に圧倒され、毎回予戦敗退し、本戦に出場したことがなかった。
トーナメントの次戦は27日(金)の対メキシコで、28日の決勝戦で金メダリストが決まる。