ネパール人と覗いた中東カタール〈3〉=人口の9割占める外国人側から見た内情=ビザや航空券無料でわずか4時間半

在カタール・ネパール大使館のナレシュ・ビクラム・ダカル大使

 9月25日にカタールのネパールコミュニティについて話を聞くために訪ねた在カタール・ネパール大使館のナレシュ・ビクラム・ダカル大使は、2022年6月より同国大使に着任した。ネパールでは教職に従事してカルナリ州首相補佐官も務め、人々の法廷での弁護活動やネパールがん救済協会でも活動してきた。

 Q.ネパールとカタールとの外交関係、ネパール人から見たカタールの魅力は何ですか?
 A.カタールとネパールは1977年1月21日に外交関係を樹立して以来、重要な関係にあります。二国間の友好関係に基づき、平和、開発、協力のための国際フォーラムにおいて、21世紀に世界が直面する課題に対して開発パートナーとなり、両国でともに歴史を築いていくことを意見表明しました。
 カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長のリーダーシップと政府、その国民によって、ネパールはありがたい雇用の機会と良好な人間関係に恵まれてきました。カタールの統治とその労働法では、労働者の幸福のために、基本給、食費、住居費の助成が積極的に行われていることもネパールからの就労者が増えた要因です。
 ご想像の通り、気候は酷暑と言える時期もありますが、労働法によって暑い季節には政府の定めた規則(就労時間帯など)に違反する屋外作業は認められておらず、労働者を保護する政策がとられています。また、ここでは国籍による差別はなく、すべて人々が平等に扱われます。
 Q.ネパール人はいつからカタールで働き始めましたか? いつから多くのネパール人がカタール以外の国を含む国外で働き始めましたか?
 A.1985年からカタールに入国し始め、現在36万4389人が合法的にカタールで働いています。ネパール人は第一次世界大戦後、グルカ兵がイギリス軍とインド軍に加わるようになり、それは現在まで続いています。シンガポールやアラブ首長国連邦などでも多くのグルカ兵が国防や公安の分野に携わっています。一方、第2次世界大戦後には、医師、技術者、教授、医療関係者で国外に出て働いてきた人もいます。2015年にネパールに大打撃を与えた大震災以降は、さらに多くの人が国外で働き始めました。

大使館内に飾られているグルカ兵の伝統的なナイフ

 Q.現在、カタールに暮らす約36万人のネパール人の性別と年齢構成を教えてください。
 A.公式記録としては女性が1万5555人、男性が34万8834 人です。一般に、彼らの大半は25~45歳の年齢層です。職種としては、9409人が政府、4543人が準政府、34万6664人が民間、3773人がその他の部門で働いています。
 Q.ネパール人がカタールを就職先に選ぶ理由を教えてください。
 A.カタールはネパール人の一般労働者に対する雇用の機会を創出してきました。無料のビザ・航空券制度は低所得者を支援しており、有料であっても非常に低額です。カタールはネパールからわずか片道4時間30分のフライトで往来できるのも距離を近く感じさせます。第二に、カタールは労働者にとって非常に平和で安全な国です。カタールの労働法は効果的で、よく守られています。基本給、食費、住居費は法律で定められており、法的に不正行為を受けることはありません。
 Q.ネパール人がカタールで働くためにどのようなビザが必要ですか?また、どのようなシステムでカタールでの仕事を得ることができますか? 
 A.2年間の就労ビザを使用しており、仕事を継続する場合は更新されます。ビザの手続きはすべてスポンサーが無料で行ってくれます。ネパール各地のエージェントは仕事の需要を収集し、両国政府の要件を満たす法的手続きを完了した後、カタール大使館を訪問します。大使館がネパールでの募集を承認したら、労働雇用社会福祉省のガイダンスに従って、ネパールの人材紹介会社はカタールの現地代理店または雇用主に人材を供給します。(続く、取材:大浦智子)

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