前回に続き、在カタール・ネパール大使館のナレシュ・ビクラム・ダカル大使の話です。
Q.カタールのネパール人はどのような仕事をしており、平均収入はどれくらいですか?
A.500人以上のエンジニア、医師、看護師、教授、一般技術者、接客業、警備員ほか、一般労働者が働いています。平均すると月収は2200カタール・リヤル(約9万円)です。
Q.カタール在住のネパール人は日常生活でどのような困難に直面しますか?
A.ネパール人にとってアラビア語を学ぶのは英語より難しいです。言語、スキル、暑い気候、文化、宗教への適応の壁に一般労働者は直面しますが、ホワイトカラーの職では言語と仕事スキルが揃っていればそれほど問題はありません。
Q.国外に単身で働きに行くネパール人男性が多いようですが、彼らやその家族は生活で問題を抱えることはありませんか?
A.家族と離れて暮らすのは大変ですが、それは仕事をする期間だけのことであり、人生の旅路の全てではないと考えています。男女ともに将来のため、子供の教育のために楽しく仕事をしています。今は物理的に離れていてもテクノロジーによるコミュニケーションツールも発達し、家族と精神的に一体感を感じることができます。
カタールでの仕事も自ら選択する権利があり、休暇中に帰国することもできます。仕事上で最も重要な事は、雇用主と従業員の両方に利益をもたらすことのできる収入と学習機会です。
Q.カタールに永住したいネパール人はたくさんいますか?
A.調査は行っていませんが、過去30年間で数千人以上がカタールに居住していますが、同国に永住する規定はなく、それはネパールにとって最善の政策です。特にカタールからネパールに送金することはできますが、ネパールの通貨は合法的にカタールに持ち込めません。
それにより、ネパールは国家建設の恩恵を受けられていると感じます。永住できる国で働くネパール人は、渡航先の国で学び、稼ぎ、収入を車、土地、家に費やし、ネパールの財産を売却してそのお金をその国に持っていくので、ネパールへの支援にはなりません。ネパールはその問題を真剣に討議しています。
Q.ネパール国外で最大のネパール人コミュニティはどこですか?
A.正確なデータを持っていませんが、非公式にはマレーシアです。多くは湾岸諸国で働いており、現在ではオーストラリア、日本、米国、カナダ、韓国、ヨーロッパ諸国でもその数が増えています。
Q.国外のネパール人コミュニティ全般の特徴は?
A.ネパール人は愛国心が強く、正直で勤勉、すべての宗教を尊重し、誰とでも友好的に行動するため、どの国籍の人からも好かれて家族の一員のように思われます。各国で一生懸命やりがいのある仕事に取り組み、笑顔で個人的な問題に向き合い、次世代のためにどんな困難でも調整する能力を持ち合わせています。しかし、受け入れ国の言語、文化、宗教、政策、法律、そして人間関係によって外国での生活状況は左右されます。
ネパールでは法的に登録された統括組織として在外ネパール人協会(NRNA)があります。100以上の地域組織が各地のネパール人への協力と支援や様々なイベントでネパール文化の紹介にも取り組み、大使館のパートナーとしても積極的に活動しています。(続き、取材:大浦智子)