ミレイ当選を恐れる在亜ブラジル人=外国人敵視やメルコスル脱退で

ハビエル・ミレイ氏(26日付エスタード・デ・ミナス・サイトの記事の一部)
ハビエル・ミレイ氏(26日付エスタード・デ・ミナス・サイトの記事の一部)

 アルゼンチン在住のブラジル人は、11月19日の同国大統領選決選投票の結果を受けて、国政が激変するのではと懸念している。現職の経済大臣セルヒオ・マッサ氏と、外国を「敵視」する超リベラル派下議ハビエル・ミレイ氏の戦いだからだ。26日付コレイオ・ブラジリエンセ(1)が報じた。
 ミレイ氏は国会議員としての政治参加はわずか2年だが、野党連合「自由の進歩」候補者として、物議を醸す提案を次々に出してきた。
 主なポイントとしては通貨ペソのドル化、中絶を合法化した憲法改正の廃止、同国のメルコスル離脱、義務教育をなくして教育制度を民営化することなどがある。
 アルゼンチン外務省の推計によれば、約9万300人のブラジル人が同国に住む。魅力の一つは、特に医学を志す人にとって、質の高い国公立の学位が取得できることだ。アルゼンチンでは試験を受けなくても大学に入学できる。
 1年8カ月アルゼンチンに住む医学生であるアマンダ・カエターノさんは、ミレイ氏の当選可能性に懸念。彼女は「ボルソナロよりも少し悪質なコピーだと思う。ここで暮らすすべてのブラジル人が奇妙なデジャヴ(既視感)を感じている。18年にブラジルで同じことを経験しているから。残念ながら、ミレイにはさらに悪い考えがあり、国民は今までにないほど苦しんでいる。ここには彼を支持する若者の多くがいるが、私は恐れている。彼は不条理なことを言うし、外国人を排除しようとしている」と述べた。
 同国に住むブラジル人は、ミレイ氏の勝利が国民の外国人嫌いを助長することを恐れている。ブエノスアイレス大学(UBA)医学生であるブラジル人ジエレ・ショルさんは、「ミレイは外国人嫌いのアルゼンチン人の間で多くの支持を得ていて、外国人について話すときは非常に過激で、恐怖を感じる」と語った。
 アルゼンチンがメルコスルから脱退すれば、同国在住のブラジル人に問題が発生する可能性がある。現在、ブラジル人は身分証明書だけで国境を越えることが可能だが、同国がメルコスルから離脱した場合、人の移動が複雑化するとみられ、合意が得られない場合、入国管理にパスポートの使用が必要となる。
 また11年間ブエノスアイレスに住む医師イスラ・モンタリエさんは、ミレイ氏がブラジルに対する考え方が「非常に限定的」であると懸念する。「外国人に対する彼の行動だけでなく、彼の発言にも私たちは影響を受けるだろう。今日アルゼンチン人が見ているものは、すでに4年前に経験している」と述べた。
 世論調査の予想に反して一次投票ではミレイ氏の得票数はマッサ氏よりも少なかった。でも5ポイント差は勝敗の行方を不透明なものにしており、合計で3分の1を占めた落選候補者の得票数がどこに動くかで勝敗が決することになる。
 ミレイ氏が当選したとしても、提案を実施するためには議会承認が必要だ。今選挙でミレイ氏所属の党は下議38人、上議8人が当選し、大幅に議席を増やした。だが下院の議席数は257、上院の議席数は72もあるため、立法院の過半数を占めるには程遠いのが現状だ。

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