最高裁第2法廷は27日、アンドレ・メンドンサ判事、カシオ・ヌネス判事、ジアス・トフォリ判事の投票により、2021年2月にサンタカタリーナ州コンオルジア市の薬局から、62レアル相当(約1850円)のウェットティッシュ3パックと粉ミルク1缶を盗んだ28歳の男の人身保護令状の請求を却下した。連邦司法支援局(DPU)は、盗まれた品物が低価値であるため「刑事軽微の原則」を適用するように最高裁に要請していた。29日付テラ・サイト(1)が報じている。
人身保護令状を認めることは、刑事罰の不当さを認めて、被告人を保釈して自由にすることになる。最高裁が判決を下すことにより、全国で起きている同様の裁判で同じ趣旨の判決が下される根拠になる。
「ここブラジルでは路上生活者は飛躍的に増加している。この数百万人の貧困層の人々を有罪とすることで、飢餓に起因する窃盗の抑止力になると考えるのは、食料、石鹸、ビーチサンダルなどの生活必需品を盗まざるを得ない状況を無視することである。誰も好き好んでこれらのものを盗まないし、犯罪とみなすことは状況を悪化させるだけだ」と、弁護人のグスタボ・リベイロ氏は主張した。
しかし、報告官のメンドンサ判事は判決の中で、被告が窃盗の常習犯であることを指摘。「夜間の営業時間外を狙い、器物損壊の上、不法に侵入して盗みをはたらいた犯行状況や常習性を考慮すると、軽視すべきではなく、刑事軽微の原則にあてはめることはできない」と主張した。
エジソン・ファキン判事とジウマール・メンデス判事は報告官と意見を異にしたが、採決には至らなかった。